【読書】適正技術

適正技術という言葉がある。これは人間の使いこなせる技術という意味で社会や環境に対して負荷のかからないものである。

これを実践している人をたまたまテレビで見た。 その人は藤村靖之といい、電気を使わないでも動作する製品を作る発明家であった。藤村氏の作る製品はいずれも電気を使わずに物理現象を応用してものを冷やしたり、動かしたりするものであった。今はモンゴルで放射冷却の原理を応用した電気を使わない冷蔵庫の開発をおこなっている。

現在の科学技術は、核のように時には人類が制御できないようなオーバーテクノロジーであったりする。核ではなくても電化製品や化学製品は、一時は快適な生活をもたらしてはくれたが、その実、ゴミ問題や環境汚染などの予期せぬ問題を引き起こした。こられは人類の制御の範囲を超えたものであるとすれば、全てオーバーテクノロジーであると言える。

藤村氏の発明はこれらに対して、自然の原理に基づいたものであり、我々のコントロール可能な範囲のテクノロジーである。このようなものを正に適正技術というのであろう。

ユニバーサルデザインを考える時に、日本の状況だけを考えずに国際的な問題を見つ、適正技術を選定することが重要になる。日本はこの分野でリーダーシップを担う立場にあるのだから、日本の都合だけではなくこの適正技術の思想を持って、各国と付き合うべきであろう。

藤村氏の著作

エコライフ&スローライフを実現する愉しい非電化
藤村 靖之
洋泉社 (2004/05)
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