地震が起こったときに、家族や友人の安否確認のために電話をして通じなかった経験をしたことがある人は多いだろう。これは一度にたくさんの人が電話をかけたために起る輻輳という現象だ。設備投資を抑えるために電話回線は実際の加入者の数より少なめに設置される。これは過去の利用率の平均から余裕をもって決められる。災害時のように加入者が一斉に電話をかけると、予測の数を上回り電話回線がパンクしてしまうのだ。そこで消防や救急、警察など緊急の電話を優先させるために、被災地の県外などからの電話を遮断するなどの発信規制が行われる。これが電話が通じない理由だ。
しかし、ここでよく考えて欲しい。
あなたが安否確認を取りたいと思っている相手はどのような状況にあるのだろうか?
・無事な場合?無事であれば問題ない。状態を確認できないのは心配だろうが電話をしなくても大丈夫だろう。
・助けが必要で電話に出られる場合?それならば自分で救急車を呼ぶだろう。その時に電話が通じなかったらどうする? あなたの電話はその原因の1つになる可能性があるのだ。あなたの電話が通じても離れたところから出来ることはほとんど無い。
・助けが必要で電話に出られない場合?電話に出られないのだから、あなたがいくら電話をしても通じない。
一人暮らしのお年寄りなどにする電話はここでは例外にするとしても、緊急時にすぐに電話で安否確認をしなければならない人の数は、それ程多くはないだろう。
安否確認の電話は相手のためにするのではなく、自分が安心したいためにするものなのである。相手のことを思うならば緊急時に電話をするのは控えていただきたい。
車を運転している時に後ろから救急車が近づいてきたらどうするだろうか? 多くの人は路肩に寄って救急車を優先させるだろう。電話も道路と同じでスペースが限られているのだ。緊急時には優先順位の高い通信を優先するようなマナーが必要なのだと思う。