【大学】ユニバーサルデザイン講義?第10回

講義10回目。もう900分も喋ったことになるのか・・・。

 今日はデザインや設計の際に用いるシナリオ手法と、プロトタイピングについて解説。具体的な例としてあれこれビデオを見てもらって考えてもらいました。もう少し余裕があれば、各自にシナリオを書いてもらう実習もしたかったし、UMLへの話なんかもしたかったな。

 この日の講義では学校のタブレットPCを借りてパワーポイントを表示したのだけれど、説明の時に画面にペンで書き込みが出来るのがいいですね。またタブレットPCで使えるプロトタイピングのツールとしてDENIMというソフトを紹介しました。

 このツールは画面にペンで書き込むだけで、Webサイトの構造を可視化することができるのです。一見落書きっぽく見えるんだけれどなかなか便利。しっかりと構造を考えたサイトの設計はユーザビリティもアクセシビリティも向上するので、こうゆうツールでしっかり検討してください。

 サイト構造を考えるだけじゃなく、ブレーンストーミングの際にグリグリ書き込むのにもいいかも。

 普通のPCでも使えるんだけれど、マウスの入力では役に立たないのですね。ほとんどタブレットPC専用だと思います。 

DENIM An Informal Tool For Early Stage Web Site and UI Design http://dub.washington.edu/denim/

【大学】ユニバーサルデザイン講義?第9回

 前回の講義の続きで、デザインの一歩前の計画や調査に関する手法について解説。今回は課題を出すこともあって、具体的な例を多く説明することに時間をかけました。

 今回お世話になったのは日本人間工学会が出版した「ユニバーサルデザイン実践ガイドライン」。初心者向けにまとまっているので、学生にも勧められます。この本に解説されているマトリクスによる問題点の整理の仕方は特に便利です。

 ただとても便利な手法だけに頭の中の知識だけでマトリクスを埋めてしまうおそれがあります。思いこみだけのUDにならないように、具体的なユーザーを対象に開発する製品を想定したタスクを実施して検証するなどの作業が必要です。

 もちろん日頃から様々な人と接して、頭の中に実ユーザーのデータベースを作ることも重要です。案外UDに一番大切なのはこの辺かもしれませんね。友達になったら、気軽にいろいろ聞けますし。

ユニバーサルデザイン実践ガイドライン
日本人間工学会
共立出版 (2003/06)
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【読書】下流社会

  流行ものなのでとりあえずチェック。
 アマゾンの読者評価では辛い採点だが、売れているだけあってそれなりに読ませる力がありおもしろい。最近光文社新書はヒットを立て続けに出しているのは、タイムリーで分かりやすいタイトルと書き方があるのだろう。参考にしたい。
 マーケティング畑を歩いてきた人なので、直感を裏付ける材料として統計を用いており、その手法は恣意的で多少強引なところがあるものの説得力がある。 
下流社会 新たな階層集団の出現
三浦 展
光文社 (2005/09/20)
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ATACカンファレンス2005-2日目

京都の2日目です。今日は雨が降っていてとても寒い朝でした。
http://e-at.org/atac/2005win/index.html

本日のセッションはこんな感じ。

○携帯電話を利用した生活支援
 様々な機能が凝縮された携帯電話をコミュニケーションの手段として使うことに関する提案。ドコモの2画面携帯も紹介され、大きな期待が寄せられていた。

○日本及び米国の障害学生の実態
 日本で障害をもつ学生を積極的に受け入れている広島大学と日本福祉大学、そしてアメリカのワシントン大学で行われている障害学生を受け入れるプログラムの「DO-IT」の紹介。

○より簡単な支援技術へ
 マンチェスター大学のPaul Blenhorm氏の講演。肥大化する支援技術への提言。機能が増えることが必ずしもユーザーのベネフィットにつながらない。今後はシンプルなテクノロジーを提供し、ユーザーが自分必要なものだけを選択することが重要。支援機器だけでなく、一般の機器にも通じる示唆の多い講演でした。

 

 

ATACカンファレンス2005-1日目

 京都で開催されたATACカンファレンスに来ております。ATACとはAssistive Technology & Augmentative Communication の略で、日本語では支援技術と代替コミュニケーションとでも訳せばいいのでしょう。主にコミュニケーションに障害をもつ方のためのテクノロジーに関するカンファレンスです。
http://e-at.org/atac/2005win/index.html

ATACカンファレンス2005

 今年で10回目の記念大会で、私自身は4回目の参加となります。参加されている方は養護学校の先生やリハビリテーションの関係者が多いようです。

 教育やリハビリの現場での実践的な取り組みに関する報告が多く、大変参考になります。また日本で入手できる支援技術に関する製品の展示も行われており、実際の製品を触れることの出来る良い機会です。

 今回参加したセッションはこんな感じ。

○AACやATで役割を生み出すことの大切さに気づく?統合教育や交流教育へのヒント
 現在進められている教育の統合に対しての問題提議。

○総務省の取り組み
 総務省の情報バリアフリーの担当官からの報告

○Show and Tell
 参加者からの告知。一人30秒で自己アピール

○機械で生み出す言葉
 コミュニケーション・シンボルの組み合わせで会話をする支援技術の紹介。海外からの招待講演。

○ITサポーターの素晴らしい実践
 各地で活躍するパソコンボランティアからの実践報告。

○視覚障害疑似体験
 ゴーグルを使って、白濁と視野狭窄の状態を疑似体験。ATACの会場をパートナーとうろうろしていろんな人にぶつかる。過去に何度か体験しているが、やるたびに新しい発見があって新鮮である。

 夜、掛屋剛志くんという13歳の視覚障害の男の子のライブが会場で行われました。うまいピアノだなぁと思って聴いていたけれど、驚いたのはその後に演じたドラムでした。なんとただの段ボール箱を叩いていただけなのに、それが見事なビートを刻んでいるのです。これにはちょっと震えたね。