【大学】ユニバーサルデザイン講義?第13回(最終回)

 半年にわたって続けてきた大学でのユニバーサルデザインの講義も今日で最終回となりました。最後ということで、これまでの講義で説明しきれなかった部分を再度解説。合わせて情報デザインの基本的な部分を説明した。この部分は本当はもう少し早い時期に説明した方がよかったと反省。次年度があればシラバスを全面的に見直したいと思う。

 講義を通じて感じたことは、情報のユニバーサルデザインというものが幅広い分野の学際領域であることだということ。それ故、1冊でその全貌を知ることが出来るような入門書的な教科書などがないことだ。やはり1冊書かなければならんかなぁ。専門の学生だったら、この本のここを来週までに読んでこいと言えるんだけどね。

 学生のモチベーションを維持し、授業に出てもらうための工夫というものが必要だった。特に後半は学校全体で出席率が下がる中で、ワークショップやゲスト講師の招聘などを有効に活用してモチベーションを高める努力をしてきた。おかげで学生からの授業評価は平均よりも高い数字をとることが出来た。

 ワークショップについてはやり方だけ説明して、実際の作業は宿題というのが多かったが、出来れば2コマ続けて最後までグループワークを実施してみたかった。これもシラバスとの相談かな。

 何はともあれ、今回一番勉強したのは僕自身だったと思う。教えることで自分自身の理解が深まった共に、教える技術も学ぶことが出来た。学生には申し訳ないが、僕の未熟な講義に付き合ってくれてありがとう。

【記事】“闇メシ”レストラン登場 店員全員が盲人

Yahoo! Newsの記事です。

“闇メシ”レストラン登場 店員全員が盲人

【ロサンゼルス=岡田敏一】米ハリウッドのホテル「ハイアット・リージェンシー・サンセット通り」に、店内が真っ暗闇で、ウエーターやウエートレスは全員が盲人という珍しいレストランが登場して大人気になっている。
店名は「ダイニング・イン・ザ・ダーク」。闇ナベならぬ闇メシといった意味。相手の顔はもちろん、出てきた料理も見えない。レストランを運営するのはドイツ人のベン・ウピュースさん(28)。ベルリンにも同種のレストランがあるのだという。

 レストランの名前が「ダイニング・イン・ザ・ダーク」だそうです(笑) 「ダイアローグ・イン・ザ・ダーク」のパクリですかね? 記事によるとドイツにもこのようなお店があって、それを真似したそうです。「ダイアローグ・イン・ザ・ダーク」はドイツが本場ですから、やはりパクリかな?。

 本家の「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」とは、目の前の自分の指も見えないくらいの真の暗闇を体験するワークショップです。視覚を閉じることによって、それ以外の感覚が開いていく感覚は面白いですよ。お勧めのイベントです。

【記事】:【ユニバーサル社会】パソコンや携帯電話など、誰でも使えるように

読売新聞のJIS X8341シリーズに関する記事です。

【ユニバーサル社会】パソコンや携帯電話など、誰でも使えるように

 春に事務機械に関する規格が出て、このシリーズが完結する予定です。今後は国際化や一般への普及が課題ですね。国際化に関しては、パート1の概論がISO化へ。パート3(Web)はWCAG2.0との連携。そして電気通信機器のパート4はITUへとそれぞれ国際化の作業が進められています。

【大学】ユニバーサルデザイン講義?第12回

新年最初の講義です。

 この日の講義はWebアクセシビリティに関して。ゲスト講師として、IBM東京基礎研究所でアクセシビリティチェックツールである「aDesigner」の開発者の斉藤様をお招きして講義をしていただいた。

 「aDesinger」は無料で公開されていることもあり、事前に学生にインストールしてもらって、実習形式の講義をしてもらうことになった。

 Webアクセシビリティはユニバーサルデザインの授業を履修していなくても興味のある学生が多く、今日は公開講座にすることにしたが、おかげで今日シルは大入り。学生以外にもスタッフの方まで来てくれて盛況でした。

 実習ということで実際のWebサイトの例として、大学のサイトを診断したが残念なことにあまりアクセシビリティには配慮されていないようで、これはなんとかしなくては・・・。

教育現場で使えるノートPCを

 MITメディアラボのデザインによる200ドルPCや、そのPC上で動くGoogleによるソフトの提供など低価格PCに関する発表が相次いでいる。

 こうしたPCは途上国のデジタルデバイド解消を目指して製作されるため、価格の問題以外に堅牢性やメンテナンス性なども求められる難しいデザインだ。

 もちろんハードウェア上の問題も多くあるだろうが、それ以上に大きな問題は実際の教育現場への導入だろう。PCだけを与えても、それらを使いこなすための教育を施す人材がなければ普及は難しい。いくつかの途上国でコンピュータ利用の現状を見てきたが、どこも専門家の不足が問題だった。

 こうした問題を解消する手段はやはりe-ラーニングが最もふさわしいのだろう。PCの操作に関する最低限の教育を受ければ、後はそのPCを通じて自ら学べるようなオープンな教育ソフトの開発が必要だ。こうしたソフトもオープンソフトとして開発が進むことを望む。

 ところで日本の教育現場でのPC利用の実態はどうだろう? 学校へのPC普及率は高くなったが埃をかぶっているのが実情ではなかろうか? やはり専門家の不足が大きな問題なのだろう。

 日本の学校で特にPCを求めている人は、障害をもつ学生なのだと思う。視覚に障害をもつ人や難読症のように文字を読んだり書いたりするのが苦手な人がいる。こうした人達にとってPCは鉛筆やノートと同じように学びを進めるために欠かせないツールだ。

 特に遅れを感じるのは難読症の人向けのPCである。海外では文字の入力に特化したスマート・キーボードと呼ばれるポータブルな小型のPCがいくつも低額で発売されている。もちろん学校での利用も認められており、多くの生徒が使用している。持ち運びに便利なことや乾電池だけで動作することなどの利便性も高く一般にも広く使われている。

 日本では残念ながらこのようなPCは存在しない。玩具店に行けばキッズPCとしていくつか低価格な製品を見つけることが出来るが、いずれもキャラクターをあしらった半ばゲームのような製品で学校で使うにはふさわしくない。WindowsCEで動くキーボード付きのモバイルPCはシグマリオン3以来、ぱったりと見かけなくなってしまった。

 今回発表された100ドルPCが、こうした日本の子ども達にも利用できることを望む。

スマート・キーボード(Light Wrighter) スマート・キーボード2(AlphaSmart)

写真:スマート・キーボード