教育現場で使えるノートPCを

 MITメディアラボのデザインによる200ドルPCや、そのPC上で動くGoogleによるソフトの提供など低価格PCに関する発表が相次いでいる。

 こうしたPCは途上国のデジタルデバイド解消を目指して製作されるため、価格の問題以外に堅牢性やメンテナンス性なども求められる難しいデザインだ。

 もちろんハードウェア上の問題も多くあるだろうが、それ以上に大きな問題は実際の教育現場への導入だろう。PCだけを与えても、それらを使いこなすための教育を施す人材がなければ普及は難しい。いくつかの途上国でコンピュータ利用の現状を見てきたが、どこも専門家の不足が問題だった。

 こうした問題を解消する手段はやはりe-ラーニングが最もふさわしいのだろう。PCの操作に関する最低限の教育を受ければ、後はそのPCを通じて自ら学べるようなオープンな教育ソフトの開発が必要だ。こうしたソフトもオープンソフトとして開発が進むことを望む。

 ところで日本の教育現場でのPC利用の実態はどうだろう? 学校へのPC普及率は高くなったが埃をかぶっているのが実情ではなかろうか? やはり専門家の不足が大きな問題なのだろう。

 日本の学校で特にPCを求めている人は、障害をもつ学生なのだと思う。視覚に障害をもつ人や難読症のように文字を読んだり書いたりするのが苦手な人がいる。こうした人達にとってPCは鉛筆やノートと同じように学びを進めるために欠かせないツールだ。

 特に遅れを感じるのは難読症の人向けのPCである。海外では文字の入力に特化したスマート・キーボードと呼ばれるポータブルな小型のPCがいくつも低額で発売されている。もちろん学校での利用も認められており、多くの生徒が使用している。持ち運びに便利なことや乾電池だけで動作することなどの利便性も高く一般にも広く使われている。

 日本では残念ながらこのようなPCは存在しない。玩具店に行けばキッズPCとしていくつか低価格な製品を見つけることが出来るが、いずれもキャラクターをあしらった半ばゲームのような製品で学校で使うにはふさわしくない。WindowsCEで動くキーボード付きのモバイルPCはシグマリオン3以来、ぱったりと見かけなくなってしまった。

 今回発表された100ドルPCが、こうした日本の子ども達にも利用できることを望む。

スマート・キーボード(Light Wrighter) スマート・キーボード2(AlphaSmart)

写真:スマート・キーボード