【読書】カーニヴァル化する社会

 TBSラジオで月に一度、日曜の深夜に放送されるラジオ番組「Life」。久しぶりに夜更かししても聞きたい番組が登場して嬉しい。朝まで生テレビ!のように毎回テーマを決めて、個性溢れるパーソナリティがトークを交わすのだが、朝生のように過激な内容ではなく、放課後の部室で友達と語り合ったような、ある種の懐かしささえ感じさせるトーンで進行していく。(ただし夜も更けていくとオヤジ発言が増えていく…)

 番組をもっと楽しもうと思い、メインパーソナリティーの鈴木謙介氏の著作「カーニヴァル化する社会」を読んでみた。タイトルから見てカーニヴァル化とはローマの「パンとサーカス」のサーカスにあたるものかと予測して読み始めたが、かなり違うようだ。サーカスが為政者から市民に対して与えられる上意下達的なものであるのに対して、ここでのカーニヴァルとは市民が自ら欲して作り上げていくものだと思う。

 本書の中でカーニヴァル化の具体例として「祭り」を引いている。これは伝統的な祭りではなく、2ちゃんねるなどで起きる突発オフなどの熱狂的な集団行動を指している。この祭りのメカニズムとその背景にある若者の心理を解こうというのが本書の試みである。 その要因とは、社会的なプレッシャーの増大によって鬱になりがちな気分を、祭りによって自らを持ち上げているのだという。これに加えて背景にITの進歩によりスマートモブのようなネットワーク化があるだろう。小さな種火も、ネットワークで増幅されて祭りの規模を以前よりも拡大することになっているのだと思う。

 面白いのはこの後に出てくる「ネタ消費」という概念である。「消費社会」から「記号社会」へと進み、モノそのものの価消費からモノに付随するブランドのような記号的なものを消費する状態へと移行してのだそうだ。日本人がブランドが好きな理由もその辺にあるんでしょう。それが更に進む「ネタ消費社会」になると、話しのネタになる個人的な体験に価値が置かれるため、より個性的な嗜好や体験に重きが置かれるようになるという。

 雑誌連載をまとめたものなので、前半のトピックのバラツキに違和感を覚えたが、最後のネタ消費の話しにつなげていく辺りは見事。番組の終わりにいつも気の利いた言葉で締めくくってくれるのと同じセンスを感じます。 

 

カーニヴァル化する社会
カーニヴァル化する社会

posted with amazlet on 07.06.19
鈴木 謙介
講談社 (2005/05/19)
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おすすめ度の平均: 3.0

5 毎日をカーニバルにしたい。
5 今後の著作に期待
5 監視社会

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