【読書】デジタルゲーム学習

 コンピュータ・ゲームを勉強やスキル修得に活用しようという動きがある。学習を目的としたゲームのことを総称してシリアスゲームと呼ぶのだが、学校の勉強に使う電子教材の延長ではなく、一見して本格的なシミュレーションゲームや、リアルな体感ゲームなど、本当のゲームと見まごうようなものもある。

 学習ゲームといえば、「ポパイの英語遊び」を思い出す。友人が親にファミコンをねだった時に、これで勉強するからという無茶苦茶な理由で本体と購入したのを、遊ばせてもらった記憶がある。当時としては画期的だったのだろうが、他のゲームが面白くて、結局はスーパーマリオばかりをやっていた。別の友人はシミュレーションゲームの「三国志」で中国の歴史に興味を持ったヤツもいたし、「桃鉄」で全国の地名を覚えた人は多いのではないだろうか?

 ところで、この本を読んだ理由だが、AD/HDのように多動の傾向がある子ども向けの学習ゲームの可能性を検討しているからである。AD/HDの場合、1つの事に集中して勉強することが難しい。しかし、コンピュータ・ゲームに対しては、かなり集中して遊ぶことができるという例が幾つかある。これは好きなことだから集中できるからなのか、ゲームのように動きが速く、画面のあちこちに注意を分散してプレイする必要があるからAD/HDの特性に向いているとか、いろいろ言われているのだが、まだはっきりした理由は分かっていない。プレイ中の脳波と画面上の視線移動を測れれば、何か分かるかもしれないが、それはまた別の機会に。

 ともあれ、障害のあるなしに関わらず、よくできたシリアスゲームには、高い教育効果があることは明かで、今後の開発への期待が持たれる。できれば、面白いシリアスゲームを作るノウハウを教えてくれれば最高なんだが・・・。

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