【訳書】高齢者のためのユーザインタフェースデザイン-ユニバーサルデザインを目指して

近代科学社より2019年11月末に首記の翻訳書を出版させて頂きました。

高齢者に使いやすいIT機器が増えれば、コミュニティに関わり続けることができ、それによって自立した生活を長く継続できるのではないかと思います。価格が高いですが、多くの方に手に取って頂きたい書籍です。

目次

第1章 はじめに
・「高齢化する世界」の意味とは?
・世界の人口問題はデザイナーにどのような影響があるのか?
・私たちはサブグループのためのデザインガイドラインを本当に必要としていますか?
・前進しましょう
・本書の構成
・注:左から右に記述される言語

第2章 高齢者に会う
・私たちは誰について話していますか?
・命名は難しい
・年齢はただの数字になることがある
・高齢者の特長
・本書のためのペルソナ

第3章 視覚
・高齢者の視覚の特徴
 視力の低下
 遠視
 周辺視野の狭窄
 中心視野の損失
 光覚の減少
 コントラスト感度の低下
 色を区別する能力の低下
 グレア(まぶしさ)感度の向上
 明るさの変化に対する適応速度の低下
 微妙な視覚的な標識を識別する能力の低下
 眼精疲労の増加
 視覚処理が遅くなり,視覚的な集中力が低下します
 視覚的な走査速度の低下
 もっと早く読む!
・高齢者(そして他の人たち)を助けるデザインガイドライン
 3.1 必須テキストの読みやすさを最大化する
 3.2 単純化:不要な視覚要素を削除する
 3.3 ビジュアル言語:効果的なグラフィカル言語を作成し,それを一貫して使用する
 3.4 慎重に色を使う
 3.5 ユーザーが探し始める位置に重要なコンテンツを配置する
 3.6 関連するコンテンツを視覚的にグループ化する
 3.7 スクロールをするときの注意点
 3.8 非テキストコンテンツの代替テキストを提供する

第4章 運動コントロール
・高齢者の運動コントロール
 手先の器用さの低下(ファインモーター制御)
 手と目の協調能力の低下
 動作速度の低下
 動きのばらつきが大きくなる
 腕力とスタミナの低減
・高齢者(そして他の人たちも)を助けるデザインガイドライン
 4.1a ユーザーがターゲットをクリックできることを確認する
   (デスクトップおよびラップトップコンピュータ)
 4.1b ユーザーがターゲットをタップできることを確認する
   (タッチスクリーンデバイス)
 4.2a 入力ジェスチャーをシンプルに保つ
   (デスクトップおよびラップトップコンピュータ)
 4.2b 入力ジェスチャーをシンプルに保つ
    (タッチスクリーンとタッチパッド)
 4.3 ターゲットが選択されたことがハッキリと分かるようにする
 4.4 キーボードの使用を最小限に抑える
 4.5 タッチスクリーンデバイスの場合,可能であれば,
     アプリ内でジェスチャーについてのトレーニングを提供する
 4.6 ユーザーが操作を完了するのに十分な時間を与える
 4.7 身体的な負荷を避ける

第5章 聴覚と発話
・年齢による聴覚の変化
 低音量の音を聞く能力の低下
 高周波音に対する感度の低下
 音源の定位能力の低下
 バックグラウンドノイズを除去する能力の低下
 速い会話を理解する能力の低下
 聴力の低下+他の能力の低下 = 二重のトラブル!
・年齢による発話の変化
 ゆっくりと,ちゅうちょしながらの発話
 高いピッチの声
 構音障害
・高齢者(そして他の人たちも)を助けるデザインガイドライン
 5.1 オーディオ出力が可聴であることを確認する
 5.2 バックグラウンドノイズを最小限に抑える
 5.3 重要な情報を複数の方法で伝達する
 5.4 ユーザーが機器の音量を調整できるようにする
 5.5 可能な限り自然な音声出力にする
 5.6 主な入力方法を利用できない人のために,代わりのデータ入力方法を提供する

第6章 認知
・高齢者の認知
 短期記憶の減少
 あまり効果的ではない長期記憶と想起(つまり学習について)
 異なる状況での一般化能力(スキルの転移)の減少
 気が散るものを無視して集中する能力の衰え
 マルチタスク能力の低下
 空間記憶の減少と注意力のコントロールがナビゲーション能力に影響を与える
 認知的“失明”の増加
 遅くなる反応:遅くなる処理速度
 認知的相互作用
・高齢者(そして他の人たちも)を助けるデザインガイドライン120
 6.1 単純化のためのデザイン
 6.2 ユーザーが集中できるようにする
 6.3 ナビゲーション構造の単純化
 6.4 作業の進捗と状況を明確に示す
 6.5 ユーザーが既知の「安全な」開始地点に容易に戻れるようにする
 6.6 ユーザーがどこにいるかを一目で分かるようにする
 6.7 複数のウィンドウの利用を最小限に抑える
 6.8 ユーザーの記憶に負担をかけないようにする
 6.9 ユーザーへのエラーの影響を最小限に抑える
 6.10 用語を統一して使用し,あいまいな用語を避ける
 6.11 強い意味を持つ言葉を使ってページ要素にラベルを付ける
 6.12 簡潔で分かりすく直接的な文体を使う
 6.13 ユーザーを急がせないで,十分な時間をおいてください
 6.14 ページや画面間でレイアウト,ナビゲーション,インタラクティブな要素を一致させる
 6.15 学習と記憶をサポートするデザイン
 6.16 ユーザーの入力を助ける
 6.17 画面上のヘルプを提供する
 6.18 重要度の高い順に情報を整理する

第7章 知識
・高齢者のデジタルテクノロジーに関する知識のギャップ
 デジタルテクノロジーの用語や頭字語に慣れていない
・デジタルテクノロジーのアイコンに慣れていない
 コントロールジェスチャーを知らない
 時代遅れの知識…
 …しかし,広範な知識領域
・高齢者(そして他の人たちも)を助けるデザインガイドライン
 7.1 ユーザーの知識と理解に合わせてコンテンツを整理する
 7.2 利用者によく知られている語彙を使用する
 7.3 ユーザーがデバイス,アプリ,またはウェブサイトの
      正しいメンタルモデルを持っていると仮定しない
 7.4 ユーザーがボタンの動作やリンク先を予測できるようにする
 7.5 説明を分かりやすくする
 7.6 新しいバージョンにしたときのユーザーへの悪影響を最小限に抑える
 7.7 インタラクティブ要素に明確なラベルを付ける

第8章 検索
・キーワード検索における年齢別の差異
 遅い検索クエリの入力
 なんども繰り返される検索
 あまり成功していない検索
 多くの知識で補うことができます
・高齢者(そして他の人たちも)を助けるデザインガイドライン
 8.1 ユーザーが検索ボックスを見つけられるようにする
 8.2 検索結果をユーザーに配慮したデザインにする

第9章 態度
・高齢者のテクノロジー利用への態度
 リスク回避の傾向
 頻繁に不満を感じると,あきらめる
 責任の順番(自分,アプリ,デザイナー)
 自分自身が「高齢」であると見なさず,
  「高齢者」向けにデザインされた製品を避ける傾向がある
・高齢者(そして他の人たちも)を助けるデザインガイドライン
 9.1 ユーザーがデータを入力,保存,表示する方法に柔軟性を持たせる
 9.2 ユーザーの信頼を得る
 9.3 高齢者を含むすべてのユーザーにデザインをアピールする
 9.4 ユーザーがすぐに問い合わせできるように準備する

第10章 高齢者との共同調査
・デザインと評価の参加者としての高齢者
 高齢者は,ユーザビリティ調査や参加型デザインに慣れていない可能性がある
 高齢の参加者を募集する
 高齢者から調査者への自己紹介
 デザインまたはユーザビリティテストセッション中の
   高齢者の行動
 高齢者とのデータ収集と評価
・高齢者と共同調査するための指針
 10.1 母集団に適した研究デザインまたはプロトコルを選択する
 10.2 潜在的なデザインまたはユーザビリティ調査の参加者を特定する
 10.3 参加者の募集とスケジュール調整
 10.4 高齢者を中心に,細かな注意を払って計画する
 10.5 高齢の参加者と一緒に活動するときに特に注意が必要なこと
 10.6 高齢の参加者のために倫理的な「出口」を持つ

第11章 ケーススタディ
・概要
・eCAALYX テレビユーザインタフェース
・Smart Companion とGoLivePhone
・ASSISTANT,公共交通機関を使用している高齢者のための支援ツール
・SUBARU 自動車インフォメーションシステム
・ウェブアクセシビリティのためのバーチャル高齢者シミュレーター

第12章 まとめと結論
・加齢の影響の相互作用
・おわりに

付録:デザインガイド