復興支援ITサポートボランティア

東北で復興支援ITサポートボランティアに行ってきました。ITサポートとは被災して仮設住宅に住む方々にネットワーク環境を整備して、ITのメリットを享受できるように支援する活動です。具体的には、ネットワークの設定やプリンタの接続のようなハードウェアまわりの整備から、友人知人に無事を知らせるための手紙を出すために、はがき印刷ソフトの使い方を解説したり、就職を目指してExcelの勉強会を開いたりしています。

震災後から月1ペースで開催されているボランティアツアーですが、わたしは2012年2月と4月のツアーに参加してきました。

2月活動分

小学校の校庭に積み上げられた瓦礫の山

ツアーは東京から深夜バスで出発。目が覚めると、窓からは瓦礫が取り除かれて、がらんとした何もない空き地が見えます。そこから集められた瓦礫は、何カ所かに集められて山になっていました。

 

 

2月は大船渡にある大立仮設住宅での活動に参加しました。

大立仮設住宅の入り口にある看板集会場の入り口にある黒板

集会場の入り口には、PC教室の看板が出ています。我々のやる気も盛り上がってきました!

お手伝いした内容は次のような内容

4月活動分

続けて4月の活動。今回のボランティアツアーでは、大槌町で活動。地震が起きてから1年たちましたが、海岸沿いの地域はまだ津波の爪痕がはっきりと残っていました。そんな中で、仮設店舗を運営するローソンは印象的でした。

高台からみた大槌沿岸部の写真

沿岸部の写真2仮設ローソン

今回は仮設住宅ではなく、大槌町北小地区仮設店舗(福幸きらり商店街)にある「きらり駅」でボランティアをしてきました。

きらり駅の入り口きらり商店街の裏にある北小の校舎

この仮設商店街は北小学校の校庭に設置されたものなので、商店街の裏には被災した小学校が建っています。中をのぞくと天井近くまで浸水した跡が見えました。

今回はITサポートを受けたい方に、きらり駅まで来ていただいてサポートを実施しました。

主な実施内容

  • Excel教室
  • Youtube動画をオフライン環境で見るためのセッティング
  • 年賀状ソフトの設定(筆ぐるめ&はがきデザインキット2012
  • プリンターの設定

エイサーの披露見学者も一緒にエイサーを踊る

訪問した日には、校庭でエイサーのイベントが開催されており、ITサポートの仕事は若干少なめ(^^;

復興居酒屋がんばっぺしの外観 海鮮盛り合わせ

ボランティアが終わり、バスで帰京する前に「大船渡屋台村」で腹ごしらえ。この日は「復興居酒屋がんばっぺし」に行ってきました。とにかく魚がおいしくて、満足です。

まとめ

たった2回ですが、被災地でのITサポートを通じて、多くの人から話を聞くことができました。みんながITのちからに期待を持っているけれど、まだまだそれを使いこなし切れていないというのが現状です。そのため情報収集/発信力が低い人は、支援を受けることができず、とても不利な状況になっていることもあります。

いくつもIT企業が支援のために、機器やネットワークを提供してくれましたが、それを使いこなせずにいる人も多いので、ITサポートのように人的サービスの提供というのも重要な活動で、継続していく必要があります。

また、ITサポートを通じて機器のアクセシビリティ/ユーザビリティが、まだまだ足りないことがよく分かりました。今回サポートさせて頂いた方々は、シニアに属する方が多く、その人たちが使いやすいITを提供する必要を再認識しました。

The 21st Century Communications and Video Accessibility Act (CVAA)

アメリカでは通信と放送に関しての権利が様々な法律によって規定されており、聴覚に障害のある人が電話を利用する際のリレーサービスやテレビ放送への字幕付与が義務づけられている。しかし以前から既存の法律の範囲では、近年増加しているスマートフォンやインターネット経由のビデオプログラムまでカバーできないことが問題になっていた。これらはいずれADA等の改定でカバーされると思っていたが、新たな法律としてThe 21st Century Communications and Video Accessibility Act が2010年に策定された。

そのときのオバマ大統領のスピーチがYoutubeに公開されている。画面の左隅にはスティービー・ワンダーが映っているのに気がつかれただろうか?

法律は2部構成になっており、第1部が通信アクセスに関する規定、第2部が映像プログラムに関するものである。

この法律の全文が邦訳がろうあ連盟のページで公開されている。他にもいくつか翻訳がWeb公開されているが、一番読みやすいですよ。

全日本ろうあ連盟 ? 聴覚障害者の情報アクセスに関するガイドライン

CSUN2012

2012年2月28日

今年度のCSUNは例年よりも開催時期が早くなり、なんと2月最終週。いつも三月中旬の開催なので、二週間もはやいことになる。成田発の全日空でSan Diegoへ出発。まずはLos Angelesへ。ほどほどの混み具合で、3列シートに二人で座ることができた。楽。無事にLAに到着すると、入管がとても混んでいて、全員のチェックが終わるまで2時間ほどかかる。簡単にお昼を済ませて、San Diego行きの便の出発を待っていると、ロビーでおもしろいデジタルサイネージを発見。

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写真中央の格子状になっている部分がタッチパネルになっており、触ると神経衰弱に似たゲームをすることができるという、ちょっと変わった広告だ。こうしたインタラクションのある広告は、これからもっと広まるのは確実で、印刷物を中心に活躍していたグラフィックデザイナーもインタラクションを学ぶ必要性が高まっていくのだろう。

一通りゲームを遊び終えて、San Diego行きの便の出るゲートに移動すると、なんと出発便がキャンセルに。ツアーを担当してくれたJTBの添乗員さんが素早く交渉してくれたので助かったが、結局2時間待って次の便に乗ることになる。

飛行機が遅れたことでKey Noteセッションを聞き逃すことになってしまったが、なんとそのビデオがWebにアップされていたので、ここでフォローします。

到着すると、すっかり暗くなっておりお腹もすいていたので、ツアー参加者の皆さんとコンシェルジュが進めてくれた近くのイタリアンレストランに出かけることに。このレストランの内装が変わっていて、おもしろい。他のお客さんが座っていて写真が撮れなかったが、ローマ法王のマネキンが丸テーブルの中心に据え付けてあったのには、さすがにちょっと引きました。イタリアン・ジョークなのかしら?

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2012年2月29日

今回はカンファレンスホテルから徒歩10分ほどにあるResidence Innに投宿。Gas Lampと呼ばれるSan Diegoのダウンタウンにあり、ホテルの周りには多くのレストランがあり、夕食のレストランを選ぶのに迷うくらい。ホテルの周りにはハンバーガーショップしかなかったLos Angelsの時代には考えられないくらいの贅沢な悩みだ。

Residence Innは朝食付きなので、さっとビュッフェを済ませたあと、参加者は7時半にロビーに集まって、徒歩10分のカンファレンス会場に移動する。
途中で、カンファレンスの創始者のハリー・マーフィーにばったり出くわす。社長が喜んでハグしていた。相変わらず元気そうでなにより。

初日は会議参加のためのレジストレーションがあり、例年だれかトラブルにあっていたので、全員で移動してまとめて登録することに。今年からカンファレンスの登録システムが変更になり、去年と違うので少し戸惑う。なんでも昨年までのシステムは、セッションの事前登録が必要で、参加者に不評だったそうだ。今年は登録の代わりに、参加希望をクリックすると、人気があるセッションの会場を変更するようにしたらしい。
大学生の学割登録をお手伝いする。事前に学割の登録をしておくとセッション参加費が半額になるが、うまく登録ができなかったそうなので、On Site Registrationに挑戦。受付で話すと、まずはとなりのPCでデータを入力しろと。その後、学生証を見せて無事に現金で会計することができた。

レジストレーションに時間をかけてしまったので少し遅れて、最初のセッションに参加。タイトルは「Yesterday Future」 アクセシビリティに関する3つのイノベーションの紹介ということだったが、最後のモバイルの紹介だけしか見ることができなかった。iPhoneを使ったコミュニケーションエイドのデモで、小学生くらいの女の子がすごい早さでiPhoneを操作しているビデオが印象的だった。(そのときに紹介されたビデオもWebにアップロードされています)

次のセッションは、「Analysis of Statistical Data for the Blind」に参加。アクセシブルなData Visualizationについて。具体例としてiPadで散布図を提示する方法をデモしながらの解説でわかりやすい。これまで視覚障害の人にグラフを説明するのは、図に代替テキストを付けるしかなかったが、iPadを使うと、グラフの指で触れた部分を読み上げてくれるので、音声でインタラクティブにグラフの意味を理解することができる。散布図の他にも、元素の周期表や地図などのデモもあり、今後の視覚障害者教育の可能性を感じることができた。

本日3本目「Web Accessibility Community Collaboration」。はじめにスピーカーから質問。W3Cにコラボまたはコメントした人が会場の半分くらい。CSUNに初めて参加、もしくはWebAccessibility初めての人が20%くらいというのを確認して開始。6人のパネルディスカッションで、W3Cの現状に関する解説。

午後からは「Intrduction to Windows8 」に参加。プラットフォームにはじめからアクセシビリティを組み込む。これによって、開発者の負担が軽くなるということが強調されていた。また標準装備のものだけでなく、追加のアクセシビリティ機能をApp Storeで見つけることができるそうだ。会場では実機のデモもあり、ここで動いているMetroUIを初めて見た。デモの音声読み上げの品質がすごくよい。日本語版にも、性能の良いTTSエンジンが最初から入っているといいのだが・・・。マイクロソフトは、これ以外にも多

被災地で障害者に出会ったら

 地震の被害に巻き込まれた方の中には、障害のある人も含まれています。もし、被災地でその様な人に会ったときの心構えをまとめておきますので、参考にしてください。

視覚に障害のある人に出会ったら

 避難経路が分からない可能性があります。 声をかけて困っていたら腕を貸してあげましょう。右手に白杖を持っている視覚障害者ならば、左手であなたの右肘をつかませてあげてください。狭い道を移動する時は一列になって動けるように、あなたの右肩をつかませて誘導しましょう。

 移動の際には足下に注意するのはもちろんです。足下がぬかるんでいたりすると滑りやすいので、ゆっくり歩きましょう。気がつきにくいのは、頭上で、看板などが出っ張っていると、頭をぶつけることがあります。頭上の障害物があるときは、声をかけながら、障害物をよけましょう。

聴覚に障害のある人に出会ったら

 緊急時のアナウンスは音声でアナウンスされることが多いので、警報や情報に気がつかない場合があります。聴覚に障害のある人に会ったら、情報が伝わっているか、確認しましょう。

 避難所などで、アナウンスするときには、同時に情報を紙に書いて掲示することを心がけましょう。これは聴覚に障害のある人だけの配慮ではありません。騒々しい避難所で、情報を的確に伝えるための手段です。  アナウンスをする際に懐中電灯などを点滅させて視覚的に注目を集めると、聴覚に障害のある人も気がつきやすいです。

 聴覚に障害のある人へ、情報を伝える方法は手話だけではありません。筆談をしたり、携帯で文章を作成して画面を見せるなどの方法があります。

 口話(読唇術)ができる人には、正面を向いて、ゆっくりはっきり話しましょう。

 安否を知らせるために電話連絡が必要な聴覚に障害のある人には、代わりに話しをする手伝いをしてあげてください。電話をかける前に、要点をまとめて短時間でやり取りできるようにしましょう。

 マスコミ各社へお願い。災害情報に字幕と手話を付けてください。ラジオの情報を頼りに出来ないので、テレビだけが情報源になります。災害情報には字幕は必須です。また聴覚に障害のある人の中には、教育の関係で字幕を素早く読んで理解する事が難しい人がいます。緊急度の高い情報には手話を付けてください。

車いすの人に出会ったら

 足下が不安定で避難できない場合があります。何人かで手伝って、安全なところまで移動させてください。 毛布などで担架を作って移動させるのも緊急の時には有効です。

 避難所では、トイレが使えない可能性が高いです。カーテン等で仕切ってトイレのスペースを作ってください。

知的に障害のある人に出会ったら

 被害の状況を理解できずに、パニックになる可能性があります。避難所などで慌てていたら、心配しないでいいと声をかけてあげてください。

 人目が多いところでは落ち着かず、混乱することが多いです。カーテンや段ボールなどで、一人になれる空間を作って上げることで落ち着ける場合があります。

 状況を説明するときは、ゆっくり分かりやすく説明してあげてください。まずあなたが落ち着くことで、相手を落ち着かせることにつながります。

 感覚が過敏、もしくは鈍感な人がいます。過敏な人はできるだけ静かな場所に連れて行ってあげましょう。鈍感な人は怪我などに気がつかない場合があるので、怪我がないか確認しましょう。

 知的に障害のある人の中には、見た目で分からない人がいます。声をかけて、返事があいまいな人には、気を配ってください。

 不安からパニックになった人がいたら、ストレスを発散させる方法を考えましょう。避難所でストレスが溜まっている人もいると思いますが、事情を説明して、ストレス発散に協力してもらいましょう。ストレス解消が、避難所の平安を維持することにつながります。

内部障害の人に出会ったら

 見た目では分からない障害の場合が多いです。できるだけ声をかけて、サポートしていきましょう。

 薬など禁忌事項がある人がいます。怪我をして応急処置をするときには、禁忌事項がないか確認しましょう。

How do you make web products accessible? | BS 8878 for digital inclusion

イギリスの標準化団体であるBSIのニュースレターで知ったのだが、Webアクセシビリティに関しての標準が決まったようである。イギリスは障害者差別禁止法(DDI)によって、以前からWebアクセシビリティの法的な基準があったのだが、今回はCode of practiceが出たようだ。

BS8878の表紙BS 8878:2010
Web accessibility. Code of practice

 

 

 

 

 BSストアで100ユーロで購入できます。Webで公開されているものがないか、探したところドラフト版(2009)が出ているので、そちらでだいたいの内容を確認する事ができます。どうやらこの文書はPAS 78:2006を全面的に改定したものらしい。

Draft BS 8878:2009 Web accessibility. Building accessible experiences for disabled people. Code of practice

BSIのニュースレターには、イギリスのアクセシビリティに関する取組みを紹介するビデオも紹介されていた。こんなプロモーションビデオ、日本でも作らないかしら。

Accessibility – BSI has a website that covers all aspects of standards and guidance for accessibility for disabled people