デジタルコンテンツ学科の学生に読んで欲しい本10冊

 僕自身が学生時代に読んで感動した本や、社会人になってから学生時代に読んでおけば良かったなと思った本を10冊選んでみました。時間のある学生時代のうちに是非読んでください。

【読書】Design for the Other 90%

 途上国の問題をデザインの力で解決しようとする取り組みをまとめたのが、本書「Design for the Other 90%」。現地の写真をふんだんに使い、現場の様子を伝えようとしている。その現場とは、実は世界の90%なのだというのが、タイトルの由来。

Design for the Other 90%
Design for the Other 90%

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Cynthia E. Smith
Editions Assouline
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 燃料、シェルター、輸送、情報通信など、様々な分野の製品を、途上国のニーズに合わせてデザインしなおすプロセスというのは、非常にエキサイティング。 そう言えば、IDEOも途上国の現場で人間中心設計をするためのToolkitを公開していたなぁ。オレもこんな仕事をしてみたいが、まだまだ現場で直ぐに問題解決するだけの実力がないので、もっと修行が必要だろうな。

Human-Centered Design Toolkit - Case Studies - IDEO
“Human-Centered Design Toolkit – Case Studies – IDEO”

  学生時代に読んだビクター・パパネックの「生き延びるためのデザイン」 という、とても古い本があるのだけど、今でもその内容は古びないデザインの古典とも言うべき本。この本の精神が、こうしたデザイン活動に引き継がれているのだと思う。しかし、その割には、世界の問題は以前として山積みなのである。

生きのびるためのデザイン
ヴィクター・パパネック
晶文社
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【読書】基礎 福祉工学

 基礎と銘打ってあるだけあって、入門者向けに平易に書かれており、初めて福祉工学を学ぶ人がこの分野の全体を学ぶのに最適なガイドブックです。さすがにこのレベルになると、特に知らない事はなくて安心した。

基礎 福祉工学 (ロボティクスシリーズ)
手嶋 教之 相川 孝訓 相良 二朗 糟谷 佐紀 米本 清
コロナ社
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【読書】デジタルゲーム学習

 コンピュータ・ゲームを勉強やスキル修得に活用しようという動きがある。学習を目的としたゲームのことを総称してシリアスゲームと呼ぶのだが、学校の勉強に使う電子教材の延長ではなく、一見して本格的なシミュレーションゲームや、リアルな体感ゲームなど、本当のゲームと見まごうようなものもある。

 学習ゲームといえば、「ポパイの英語遊び」を思い出す。友人が親にファミコンをねだった時に、これで勉強するからという無茶苦茶な理由で本体と購入したのを、遊ばせてもらった記憶がある。当時としては画期的だったのだろうが、他のゲームが面白くて、結局はスーパーマリオばかりをやっていた。別の友人はシミュレーションゲームの「三国志」で中国の歴史に興味を持ったヤツもいたし、「桃鉄」で全国の地名を覚えた人は多いのではないだろうか?

 ところで、この本を読んだ理由だが、AD/HDのように多動の傾向がある子ども向けの学習ゲームの可能性を検討しているからである。AD/HDの場合、1つの事に集中して勉強することが難しい。しかし、コンピュータ・ゲームに対しては、かなり集中して遊ぶことができるという例が幾つかある。これは好きなことだから集中できるからなのか、ゲームのように動きが速く、画面のあちこちに注意を分散してプレイする必要があるからAD/HDの特性に向いているとか、いろいろ言われているのだが、まだはっきりした理由は分かっていない。プレイ中の脳波と画面上の視線移動を測れれば、何か分かるかもしれないが、それはまた別の機会に。

 ともあれ、障害のあるなしに関わらず、よくできたシリアスゲームには、高い教育効果があることは明かで、今後の開発への期待が持たれる。できれば、面白いシリアスゲームを作るノウハウを教えてくれれば最高なんだが・・・。

デジタルゲーム学習―シリアスゲーム導入・実践ガイド
マーク プレンスキー
東京電機大学出版局
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【読書】決めない会議

 先日のワールド・カフェでお会いした香取さんの新著、「決めない会議」を早速読んでみた。

 文字が大きく、割と薄めなのでさっと読める本だが、要点がシンプルにまとまっていて充実した内容になっている。これを読めば「ホール・システム・アプローチ」の全体像が理解できるようになっている。これまで様々なワークショップに参加してきたが、それらの意図がつながって見えるようになった。

 「決めない会議」という題名は非常に逆説的で、本当は、自然に決まっていく会議のことが書かれている。個々人のアイデアが反響し合い、有機的な結合を果たして、まとまっていく。本書の中では、そのような1つの大きなシステムとして組織が動くためのプロセスや、場作りについて、本当にシンプルに(大事なところだけ)書かれている。

 皆が下を向いてしまい閉塞感を感じてうるような時代、こんな自由な場を作ることで、新しいアイデアが生まれてくるのだと思う。

決めない会議―たったこれだけで、創造的な場になる10の法則
香取 一昭 大川 恒
ビジネス社
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おすすめ度の平均: 5.0

5 組織で生きる人々の生き方を考えさせてくれる本
5 簡潔にして漏らさず
5 決してハウツー本ではありません
4 「決めない会議」も重要です
5 ミーティングがつまらないと感じている方に