世界を変えるデザイン展&ワークショップ

2010年5月に東京ミッドタウンで行われた世界を変えるデザイン展と関連するワークショップに参加してきました。

Qドラム油圧眼鏡「Adspecs」

ソーラー式のランプ「d-light kiran」OLPC

展示されているプロダクトは、いずれも途上国での利用を前提に考えられたデザイン。制約の多い中での試行は、アクセシビリティを考える上でも、とても参考になります。

写真左上:「Qドラム」 円筒形の本体の中に水を入れて転がすことにより、大量の水を遠くまで運ぶことができる
写真右上:油圧眼鏡「Adspecs」 つるの部分にある油圧シリンダーを調節することにより、レンズの厚みを変えて、ユーザーの視力にあった度に合わせることができる
写真左下:「d-light karan」太陽電池で昼間充電しておくと、一晩光をともすことができるソーラーランタン
写真右下:「OLPC」One Laptop Per Children 元MITメディアラボ所長のニコラス・ネグロポンテを中心に開発が進む低価格PC

ワークショップ

同時開催されたワークショップには2回ほど参加することができました。

現地の生活環境に配慮したデザイン開発

東京造形大の益田先生がコーディネータのワークショップ。大気汚染のひどいインドで、現地の人に使ってもらえるマスクをグループに分かれて考える。個人的には、大気汚染の健康被害を防ぐためにマスクを付けるというのは、対症療法的なアプローチで腑に落ちなかったが、現地の様子を聞きながらアイデアを考えるという作業は楽しかった。

日本が世界にできること・Part1 ?残り90%の人々が本当に日本に求めているデザインと技術?

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こちらは九大でBOPを研究しているアシル・アハメッドさんがコーディネーターのワークショップ。アシルさんはバングラディッシュ出身なので、当事者的な視点のワークショップで、前回と違った雰囲気でよかった。今回のテーマは前回よりも広く、途上国で実際にビジネスを起こすとしたら?という、BOPビジネスプランニングといった趣旨の内容で、よりビジネス寄りの発想が求められた。

【著書】リハ医とコメディカルのための最新リハビリテーション医学

共著で次の本に1章書かせてもらいました。目次を見ると、私以外は有名なお医者様ばかり。まさに最新のリハビリテーションについて執筆されています。

私の担当は3章の「障害者のパソコンアクセス」。BMIなど最新のトレンドは他の章に譲ったので、書いたのは本当に基本的な部分。分担したこともあるだろうが、書き下ろして改めて障害者のパソコン利用に関して、基本的なところはここ10年であまり進歩していないのではないかと感じた。 脳に対して直接アクセスできるインターフェースが発達し、重度の肢体不自由の人にも様々な可能性が見えてきた。しかし、インターフェースの広がりがそのまま、ユーザーのQOLの向上につながるとは限らない。問題は、インターフェースのその先にあるのだ。まだまだやらねばならないことは多い。

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【著作】スマートエイジング入門―地域の役に立ちながらボケずに年を重ねよう

 アクセシビリティ研究会で今年も本を出版することが出来ました。研究会としては6冊目。個人的には12冊目の共著本になります。
 
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35歳の危機感

このエントリー、気に入らなかったので書き換えて再度アップします。

 35歳というのは社会的に見て人生の大きな節目のようである。転職するには35歳が限度らしいし、プログラマーに至っては35歳引退説まである。この歳を超えると、ある程度人生の選択肢が狭まってしまう。女性はそれに加えて出産という生物的な限界が近づいてくるので、否応なしに人生を考えざるを得ない。

 ある意味で、これまでの世代の人は35歳までにある程度の社会的信用のあるポジションに着き、その後はそのポジションを守って生きてきたとも言えるだろう。

 しかし2010年現在、リアルタイムで35歳の人達の悩みは、バブル崩壊の影響を受け、こうした社会的なポジションを得ることができずに35歳を迎えてしまったことである。 2010年現在の35歳は1974年生まれ。団塊ジュニアとしてとりわけ人口の多い世代であり、バブル崩壊の影響で就職に苦労した世代でもある。バブル世代が自由を求めてフリーターになったのに比べ、正社員になりたくても慣れなかった世代がいまの35歳だ。派遣社員では35歳までにキャリアを積み上げることは難しく、年取ってから余力で生きていくのは難しい。

 NHKの調査によれば、いまの35歳は10年前の35歳よりも年収が200万円少ないという結果が出ている。それはつまり新卒の年収と変わらない。 失われた10年は世の中の雰囲気だけではなく、実際に数値に表れてる。

 例えば35歳は給与体系が年功序列から成果主義に変わってきた最初の世代でもある。働きに応じて給与が支払われる成果主義が広まっていれば、NHKの調査の結果ももっと高い数値が出ているはずだが、そんな兆候は微塵もない。このままで安く使われて終わってしまう。

 成果主義でこのまま行くと、今の35歳が50歳や60歳になり、新しい技術を修得したりハードワークができなくなったときに、成果に合わせた報酬だと、今よりももっと少ない収入になってしまうのではないかという不安がある。 年功序列では若いときに少ない収入でも将来は増えるという目算があったから苦しくてもがんばれたのが、成果主義で、いま少ない収入が将来増えるという保障は何もない。世間の事を書いていたつもりが、だんだん自分の心配(笑)になってきた。

 こうした現状に対してルサンチマンを垂れ流しても仕方がない。団塊の世代を羨んでも高度経済成長時代は二度と帰ってこないのだ。我々は今の時代を受け入れて生きていかなければならない。高齢者VS若者という分かりやすい二項対立で考えていては思考停止に陥ってしまう。本当に考えなければいけないのは、我々の世代の子ども達についてなのではないだろうか?

 35歳は親になる世代でもある。団塊Jr.は貧乏くじを引いた世代とも呼ばれているが、その親の世代は高度成長でしっかりと蓄えた資産があり、臑をかじって生きていくこともできるだろう。いま問題になっているネットカフェ難民のような人達は、何か問題が起きたときに親や親戚など上の世代に頼るという血縁のセーフティーネットを持っていないのではないだろうか。もし親の世代がすっからかんだったら、困難に陥る人はもっと増えるのではないだろうか?

  団塊Jr.には、まだかじれるだけの臑が残っている。しかし、彼らの子ども世代には十分な臑を残してやることはできるだろうか? 教育や働いてスキルを磨く機会が少なければ、新興国の追い上げに負けてしまう。国内の産業が力が落ち、ますますレベルアップする機会を無くしてしまうという悪循環が繰り広げられるかもしれない。

 年金や医療費が年寄りは得で若者は損だとか、目先の損得を考えていては手遅れになる。問題は世代間の対立では解消できないのだ。いまこそ世代間で持続可能な経済社会を作り上げなければならない。

“35歳”を救え なぜ10年前の35歳より年収が200万円も低いのか
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