世界各国のアクセシビリティの動向

榊原直樹　http://sakaki.ws/

2007年5月31日

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世界のアクセシビリティの動向

法律の整備状況
Ｗｅｂアクセシビリティガイドライン
品質保証マーク
各国の特徴

障害のある人の権利に関する条約

2007年3月30日、ニューヨーク国連本部にて署名された

第9条　アクセシビリティ

情報サービス、コミュニケーション・サービスについても定義
日本でも批准に対して現在検討中
批准に先立って、国内法の整備が行われる

参考URL：川島聡・長瀬修　仮訳（2007年3月29日付訳）

Ｗｅｂアクセシビリティ調査国（25カ国）

調査対象国はオーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブラジル、カナダ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、香港、アイルランド、イタリア、韓国、ルクセンブルグ、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポルトガル、シンガポール、スペイン、スウェーデン、タイ、イギリス、アメリカそして日本

Ｗｅｂアクセシビリティに関連する法律の整備状況

法律がある国が17ヵ国。法律がない国が8ヵ国

25カ国中17カ国が法律で義務化
その他の法律で間接的に保証している国もある
日本には該当する法律がない

米国：リハビリテーション法508条

2001年6月21日より実施
政府調達にアクセシビリティを義務化
基準を満たしていない場合、その不備を訴えて個人が訴訟を起こすことができる
現在改訂作業中

認知・知的障害に関する配慮が加わる
“Testability”を意識

英国：障害者差別禁止法（ＤＤＡ）

1996 年制定
第3部にて「製品、施設、およびサービス」について記述

第3部は、1999年10月より施行され、実施基準（Code of Practice）は、2002年5月に発行

最後のパートが施行されたのは2004年10月

情報分野の施行の時期が早かったのは、建築物などの改修よりも容易なため

関連するガイドライン

PAS 78 (a guide to good practice in commissioning accessible websites)

豪州：障害者差別禁止法

全てのオンラインの情報とサービスに対してアクセス可能であること（同法24条を参照）
シドニーオリンピック（2000年）公式サイト

視覚障害者の利用に配慮が足らず、障害者差別禁止法を根拠に訴訟
オーストラリア人権・機会均等委員会（HREOC：Human　Rights and Equal Opportunity Commission）に訴訟手続

ガイドラインの整備状況（25ヵ国）

WCAG1.0に準ずる国が14ヵ国。WCAG1.0をベースに改変したガイドラインを使用する国が4ヵ国。WCAG1.0とリハ法508条に準ずる国が2ヵ国。WCAG1.0とリハ法508条とISOに準ずる国が1ヵ国。リハビリテーション法508条に準ずる国が1ヵ国。ＪＩＳ規格に準ずる国が1ヵ国。ガイドラインが無い国は2ヵ国。

２１／２５ヵ国がWCAG1.0を参照

WCAG1.0(Web Content Accessibility Guidelines 1.0)

WAI (Web Accessibility Initiative)の推奨するガイドライン

Webアクセシビリティを配慮する上での重要項目をまとめた

1999年に発表
WCAG 2.0のラストコール・ワーキングドラフトが2006年4月に公開

2007年5月に新しいワーキングドラフトが公開
日本からもワーキンググループに2名参加

リハ法508条第1194部第22条

ウェブサイト利用によるイントラネットとインターネットの情報およびアプリケーションが対象
(a)から(p)まで１６項目
(l)、(m)、(n)、(o)、および(p)はWCAG 1.0と異なるものである

JIS Ｘ8341-3

『高齢者・障害者等配慮設計指針－情報機器における機器，ソフトウェア及びサービス－第三部：ウェブコンテンツ』
2004年制定
WCAG1.0とも連携
日本語独自の問題点を追加

ＥＵ(European Union)

公共調達

EC Mandate 376 to ESOs for common requirements and conformance assessment
ＥＵ加盟国の調達に関するアクセシビリティ基準
現在基準を策定中

WAB Cluster

Web Accessibility Evaluation and Benchmarking Cluster
Ｗｅｂのアクセシビリティを評価する方法
ＷＡＩとも連携　WCAG2.0にも対応予定

認証マーク

Ｗｅｂアクセシビリティの品質を保証する認証マークを持つ国：5ヵ国

フランス、オランダ、イタリア、ポルトガル、ベルギーで使われている認証マーク

JISマークは？

情報アクセシビリティの国際標準化調査研究委員会　WG3 （普及・評価手法調査部会）にて検討中

X8341シリーズ普及活動支援を行う
X8341シリーズの評価手法に関するフレームワークをまとめる

Ｗｅｂ単体ではなく、X8341シリーズ全体について議論

まとめ

障害のある人のアクセシビリティを法律で保証する事は、世界的な流れである
それを実装するガイドラインの整備がWAI/WCAGを中心に活動>
日本は独自の問題提議を

アジアとの連携
多言語問題
JIS X8341シリーズの有効活用

詳しくは「Ｗｅｂアクセシビリティ」を参照

第2章にて法律およびガイドライン概論
第16章にて、アメリカの情報
第17章にて、24カ国の情報

オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブラジル、カナダ、デンマーク、EU、フィンランド、フランス、ドイツ、香港、アイルランド、イタリア、韓国、ルクセンブルグ、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポルトガル、シンガポール、スペイン、スウェーデン、タイ、そしてイギリスなど

日本に状況については、新たに書き下ろし

謝辞

ご静聴ありがとうございました。

榊原直樹