【読書】胎動するベトナムの教育と福祉

 せっかくベトナムに行ったのだから、この国のことをもっとよく知りたいと思う。まずがやはり仕事に関連する情報が大事だろう。手にっとったのは「胎動するベトナムの教育と福祉」2003年の本だ。

 言うまでも無いことだが、この国の障害者にとって最も影響を与えているのはベトナム戦争だ。砲撃や地雷の被害は勿論、枯れ葉剤の影響による先天的な障害の発生も多い。日本では有名なベトちゃんドクちゃんもベトナムではあまり知られていないのだそうだが、それはみんなが感心がないのか、あるいは同じような境遇の人が多くて埋もれてしまうのだろうか・・・。

 途上国の障害者が二重に搾取されている。障害とそれに起因する貧困によってだ。ベトナムもまた例外ではなく、街中を歩くと物乞いをする障害者の姿が多く見られた。カンボジアでは観光地を中心に回ったため、あまりそのような人の姿を見ることはなかったが、手足のない人や目の見えない人が楽器を弾いていた。

 国全体が困難な状況にあるのだから障害者のサポートをするのは難しいとも言えるが、ドイモイ政策による市場開放で活気のある今では福祉にもっと力を入れてもいいのではないだろうかとも思った。

 

胎動するベトナムの教育と福祉―ドイモイ政策下の障害者と家族の実態
黒田 学 津止 正敏 向井 啓二 藤本 文朗
文理閣 (2003/06)
売り上げランキング: 583204

【読書】ブルー・オーシャン戦略

 新市場の開拓をメインに据えたブルー・オーシャン戦略の解説書。煽りは魅力的で内容も面白く読み物としては十分楽しめる。新規市場に対する考え方は、実はユニバーサルデザインの考え方に非常に似ているものを感じた。ブルー・オーシャン戦略の言葉を借りて言えば、ユニバーサルデザインは、これまで市場の外にあると考えられていた障害者や高齢者に対して、「市場の境界線」を引き直すことである。そのために、シンプルで使いやすい製品を開発していくことは、「バリュー・イノベーション」を引き起こすことにつながる。

 他に参考になったのは後半の、組織のモチベーション管理の解説。ステイクホルダーをどのように戦略に巻き込んでいくかについての部分だ。企業の中でユニバーサルデザインを実施していくのは、実際おなじような問題にぶつかることが多い。トップがUDの価値を理解しても顧客との接点であるフロント部隊が理解していなかったために、顧客に間違ったメッセージを伝えてしまうこともある。逆のパターンもまた多い。

 時間がなくて手っ取り早く読みたい人はポケット図解を読むだけでも十分に役立つと思いますよ。

ブルー・オーシャン戦略 競争のない世界を創造する
W・チャン・キム レネ・モボルニュ 有賀 裕子
ランダムハウス講談社 (2005/06/21)
売り上げランキング: 2532
おすすめ度の平均: 4.0

2 いわゆるネーミングの勝利型
5 青い海を目指して、我々が目指すべきロールモデル
5 赤き血の海から、蒼き未開の海へ

【読書】デザイン思考の道具箱―イノベーションを生む会社のつくり方

 SFCの奥出教授による、デザイン思考を解説した書。モノ作りのウェイトが技術力からデザイン力に移りゆく様を照らしていく。

 一般的な入門書としての位置づけなのか、タイトルから期待した道具(具体的な方法論)に関しての解説が少なかったのが残念。それらはもっと専門書を出してもらおう。 

デザイン思考の道具箱―イノベーションを生む会社のつくり方
奥出 直人
早川書房 (2007/02)
売り上げランキング: 4109
おすすめ度の平均: 5.0

5 ipodを生み出したのはデザイン思考だった

【読書】ドアプロジェクトに学ぶ

 この本は失敗学で有名な畑村先生が、六本木ヒルズで起こった大型回転ドアによる男児の死亡事故を契機にして開始した「ドアプロジェクト」の報告です。

 興味深い点としては、4.2で解説している「技術の系譜と来歴調査」だ。最初に作られた回転ドアが時間や人の手を経て行く中で初期の設計思想が継承され無くなっていく様を追跡調査していく。回転ドアの場合は、初期には安全性を考えて軽量化の考えがあったが、次第に大型化や内装の追加などで当初の思想が失われていく。

 2007年問題で団塊世代の大量退職で技術力の散逸が問題になっているが、個人の技術力だけではなく設計思想の継承の問題にも注目していかなければならないだろう。

 第5章の「事故のない設計のために」は、特にこれから設計を学ぶ人には何度も読みことを勧めます。

 回転ドアの衝撃を検証するための実証実験の様子などは、写真も多く文章も平易に書かれており非常に読みやすいので、一般書として出した方が売れたかもしれません。製品設計をするエンジニアはもちろん、一般の方にもお勧めの本です。

ドアプロジェクトに学ぶ―検証回転ドア事故
畑村 洋太郎
日刊工業新聞社 (2006/07)
売り上げランキング: 268239
おすすめ度の平均: 4.0

4 事故を防ぐために!

【読書】ITで人はどうなる

 タイトルにITとあるが、本書のメインは人。これだけ広まったITで人はどのように変わったのか、そして変わっていくのかという問題を易しい説明で語っている。これだけITが広まった世界では、道具の在り方が人の思考や行動にも大きく影響している。だからこそ、人が人らしく生きるためには、どうのように道具をデザインしなければならないかを考えなければならない。

 学部の1,2年生で、特にこれからものつくりに関わるような学生に読んでもらうのがぴったりの本だろう。

 

ITで人はどうなる―人間重視の情報技術を
斎藤 正男 川澄 正史
東京電機大学出版局
売り上げランキング: 492590
おすすめ度の平均: 3.0

3 ITに馴染みがない人が、ざっと勉強しておくには有用な本