【読書】反社会学講座

 ちょっと「社会学」でも囓ってみるか、と思ってWebを検索。行き着いたページがここ「スタンダード 反社会学講座」。 そもそも社会学って扱う幅が広くて、素人には何をやってるかよく分からないじゃないですか。だからこれまでちょっと斜に構えてみていたので、本書のタイトルに強く惹かれたのかも。社会学が何かも分かっていないのに、いきなり「反社会学」なんて、と思ったけれど読み始めると面白くて堪らない。随所にちりばめられた毒がピリリと効いて小気味よい。

 一番気に入ったのは、社会学者の一般的な研究方法についてのくだり。ちょっと長いけど引用してみる。

  1. 日常生活の中や、新聞・雑誌・テレビの報道などから、気にくわない人間、こてんぱんにやっつけてやりたい憎たらしい相手を見つけ出します。これは、個人的な感情に基づいたものでかまいません。
  2. その批判対象となる人たちが、なぜ気にくわないのか。落ち着いた雰囲気の喫茶店で(ドトールや、とりわけスタバは、アホ女子大生の巣窟なので適しません)コーヒーでも飲みながら、結論を出します。これももちろん、個人的な感情論で結構です。理系の学問ではこの段階の意見を仮説と呼びますが、社会学にかぎっては、仮説と結論は同義です。 
  3. 資料やデータを収集します。このとき注意しなければならないのは、自分の結論を裏づけるのに都合のいい証拠だけを集めるということです。高いコーヒー代を払ってせっかく練り上げた結論なのですから、大切にしましょう。それを否定するような資料やデータは見て見ぬふりをします。 
  4. なお、データの一部分だけを抽出したり、意図的に資料を誤読したりするのは、社会学研究上での重要なテクニックですので、日々研鑽に励まねばなりません。統計学の手法を用い、重回帰分析などのテクニックを使用するのも有効です。学力低下のおかげで、算数の不得意な人が増えたので、たやすく煙に巻くことができます。
  5. 手頃なデータが手に入らないときは、海外に目を向けるのも大切です。「アメリカでは……」「イギリスでは……」と具体例を引くことで、日本人の西洋コンプレックスを上手く利用しましょう。ただし、日本より劣る点には、目をつぶらねばなりません。「イギリス人はみんな立派で、日本人のようにふにゃふにゃしていない」これは結構です。でも、「イギリス貴族はみんなホモ」「イギリスの若者はみんな失業中で薬物中毒」などの具体例は(たとえそれが公然の秘密であっても)逆効果です。
  6. データをもとに本を書きます。論文ではなく、本です。論文を読むのはごく一部の物好きだけです。近年の創刊ラッシュにより、新書なら比較的楽に出せます。ハードカバーでなきゃ、というプライドは捨てましょう。そして、この段階で、個人的な恨みつらみの要素は取り除かねばなりません。ひねり出して磨き上げた個人的な結論を、一般的な社会問題にすり替えて大袈裟に煽り立てましょう。 
  7. マスコミの注目を集め、取材や原稿、講演の依頼が殺到します。ちなみに講演のギャラは、一回90?120分で50万円が相場です。555,555円にしておけば、税引後ぴったり50万円が手元に残ります。

反社会学講座 第1回 なぜ社会学はだめなのか  より引用、例:は抜いてある。

  これだけ読んでも、強烈な皮肉が伝わってくるでしょう? こんなふうに描かれただろうと思われる新書や報告書がたくさん頭に思い浮かびます。すべてこの調子で書かれた20回の誌上講義をまとめた文庫本として発売されている。加筆されているので、読み応えありますよ。

反社会学講座 (ちくま文庫 ま 33-1)
パオロ・マッツァリーノ
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5 とにかく面白い
4 毒ありました♪
4 反社会学は結局、社会学に回収される。
5 社会がわかる
5 「なんとなく」議論を打破する一冊

 しかし「社会学者の一般的な研究方法」には気を付けなければならない。もしかして自分もこのパターンで文章を書いていないか!? 特にデータの取り扱いは慎重にしないとゴミがゴミを生み出すことになってしまう。今から昔の文章を読み返すなんて恐ろしいことは出来ないが、これからは適当な仮説やいい加減なデータの引用が無いように気を付けよう。以前読んだ「社会調査」のウソにも、その辺の注意がしっかり書かれていたなぁ。こっちも復習しておこう。

「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ (文春新書)
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5 勉強になります
3 数字の見方が変わります
5 過激ながら良識ある批判
5 世の中の調査やアンケートがゴミ情報だらけであることが解る
3 いいけどちょっとあやしいところも

【読書】定年後のただならぬオジサン

 ただならぬオジサンとは、「さすが年をとっているだけのことはある」と世の中に認められて、一目置かれる存在として、定年後を生きている人を指すのだそうだ。確かに登場するオジサン達はただならぬ人ばかり。ただならぬだけではなく、生き生きとして楽しそう。まさにアクティブシニアだ。

 日本の高度成長期を支えたオジサン達は、仕事のために生きてきたような人生を過ごしてきた。だから定年になって仕事から離れると何をしていいか分からなくなってしまう人もいる。本書に登場するオジサン達は、定年後の人生に新たな生きがいを見いだし、第二の人生を豊かに過ごしている。その豊かさは金銭的なものだけではなく、仲間や友人、地域との繋がりの中で、自分の存在を肯定してくれる誰かと関わりながら、生きていることを実感していく豊かさのことだ。

 ちょう私の両親が、そろそろ本書に登場するオジサン達の仲間に入る年齢である。自分の親を思いながら読むと、更にいろいろと考えさせられる本だ。

定年後のただならぬオジサン (中公新書ラクレ)
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5 60代からの生き方がイメージできた。
5 シニアの生き甲斐とは

【読書】日本再生のルール・ブック

  タイトルからして政治に関する本のように見えるけれど、スウェーデンのNGO団体である「ナチュラル・ステップ」が取り組む、持続可能な社会を解説した本です。マスコミで取り上げられる環境問題が、時に感情論に流されがちなことに対して、この団体は科学的な視点が一貫していて納得できる点が多いです。

 将来の社会のあるべき姿を想像するときに、炭素消費量や有害物質の拡散量など、環境問題は問題の影響力を数値で可視化できる点が優れていますね。ユニバーサルデザインの与える経済的なメリットなど、我々も将来の社会に与える影響を可視化する努力が必要だと感じました。

日本再生のルール・ブック―ナチュラル・ステップと持続可能な社会 (海象ブックレット)
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5 秀逸です

【読書】「未来の学び」をデザインする―空間・活動・共同体

 これまでの知識重視の学びから、体験やコミュニケーションを中心にした新しい学びについて、MITのメディアラボやはこだて未来大学での実践を紹介。

 非常に参考になりました。学びの環境とは大学のような教育機関だけではなく、企業にも必要なもの。特に研究や開発、デザインなどの新しいものを生み出す仕事では常に学びが伴うので、そのような環境を整備するためには、仕事の進め方自体を見直していく必要があります。

 特にユニバーサルデザインは、参加型のデザインであるとも言われるので、この本で取り上げられている空間・活動・共同体などを考えることは重要な要素でしょう。

「未来の学び」をデザインする―空間・活動・共同体
美馬 のゆり 山内 祐平
東京大学出版会
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【読書】桜の文学史

  この季節、日本に生まれてよかったと思うのが桜の花が見られることだ。桜が、なぜこれ程までに日本人の心を捉えて離さないのだろう。満開の桜の木の下を風が駆け抜けると、ひらひらと舞い落ちる花びら。それだけでこころは千々に乱れる。侍の心に例えられたり、軍国主義の象徴にされたりと少々物騒な花でもあるが、それも人の心を動かす魅力のせいか。

 ちょうど高校生の頃に、桜のことをもっと知りたくなって買い求めたのが「桜の文学史」。いまは新書で再版されているが、その頃は文庫版だった。この本は遙か万葉の時代から、文学の中に織り込まれた日本人と桜との心根を説き明かしています。江戸時代以降に広まった桜の散る様に死生観を重ねる文化が、極一時的なものだというのも分かります。

 理系の大学に入ってから一般教養で取った文学のクラスで教鞭を執られていたのが、この本の著者の小川先生でした。授業の教科書もこの本が使われていて、以前から本書を読んでいた私は、毎回の授業を本当に楽しみにしていました。著者に直接教えてもらえるなんてなかなかない幸運。

 あぁ、それにしても、今年も桜が散っていく。

桜の文学史 (文春新書)
桜の文学史 (文春新書)

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小川 和佑
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5 年間を通して楽しめる桜の本