平成18年の障害者雇用率

 厚生労働省の発表によれば、平成18年6月時点での障害者雇用率は1.52%だったそうだ。

 法律で決められた最低限の雇用率は1.8%であるので、まだ目標を達成する事は出来ていない。政府は積極的に雇用率を高める施策をしているが、いずれも効力を発しているとは言い難い状況にある。

 雇用に関連する問題として教育が上げられるが、私は教育の問題を解決しなければ雇用率の増加も期待できないと感じている。現在の養護学校などで行われている教育では実際の会社で働く際の能力に結びついていない。また、更に高いスキルを身に付けようと高等教育に進もうと思っても養護学校のカリキュラムでは受験を乗り越えるのは難しい。大学に入れるだけの力があっても、大学側の環境が整っていないことが理由で、拒否される例もある。

 教育の問題は、採用する側の心理面にも影響する。分離教育で幼い頃から障害をもつ人と分けて過ごしてきた人達にとっては、いざ採用する時点で障害を持つ人の事を何も知らないことに気が付くだろう。彼らとどのように接していいか分からなのだ。その結果、採用を見送ることになる。本当は少しの気遣いだけで健常者と全く同じに働けるような人であってもだ。

 双方の理解を進めるためにも、雇用の問題を考える際には教育の問題も合わせて考えていくことが必要である。

厚生労働省:民間企業の障害者の実雇用率は、1.52%(平成18年6月1日現在の障害者の雇用状況について)
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/12/h1214-2.html

 

国連総会が障害者の権利条約と選択議定書を採択

 関係者の方々の努力が実り、ついに国連で障害者の権利条約が採択されることになりました。先進国で唯一障害者の権利を定めた法律を持たない日本が、この条約に対してどのようなスタンスを取るかはまだハッキリとは分かりませんが、大きな一歩となったことは確かです。

 これを機会に国内の法律などが整備され、障害をもつ人がより暮らしやすい社会が実現されることを期待します。

FIFTH COMMITTEE CONSIDERS BUDGET IMPLICATIONS OF GENERAL ASSEMBLY TEXTS ON DAMAGE REGISTER, DISABILITIES CONVENTION, LAW OF SEA
http://www.un.org/News/Press/docs/2006/gaab3779.doc.htm

 

【大学】ユニバーサルデザイン講義2006-第10回

 本日は製品・サービスを計画する時のアイデアをシナリオの形式でまとめるシナリオデザインの実習を行いました。

 シナリオには問題シナリオと解決シナリオの2つを想定し、今日はまず問題シナリオをの方をまとめることをしました。

 グループに分かれたワークショップ形式で、各自の意識した問題点を列挙していき、それらを分類していく作業を行いました。授業の最後には各グループに発表してもらいました。

 次回の授業では解決シナリオを作成するのですが、ユニバーサルデザインでは、どのように問題解決するのかを中心に解説していく予定です。

少子化社会白書

少子化社会白書が発行されました。全文を以下のサイトから閲覧することが出来ます。

少子高齢化の問題は、今後のUD製品のマーケットを考える上でも重要です。ざっと資料を眺めたところ、目に付いたのは地域ごとの出生率の差ですね。東京の場合、既に1を割り込んでいます。いわゆるドーナツ化現象で、子どもがいる家庭は周辺の千葉・埼玉・神奈川にあるのだと思うのですが、この地域でも軒並み1.18程度と低水準にあります。首都圏全体で少子化が進んでいるようです。

国内の問題だけではなく、海外の少子化の動向についても触れられています。私が気になったのはアジア地域の少子化傾向です。途上国であっても近年は少子化の傾向が見られるようです。これは乳幼児死亡率の低下と工業化により、1人の子どもに対してより多く投資する傾向が出るのでしょう。また、一人っ子政策をとっている中国の出生率が1.7なのが興味深いですね。やはり農村部などでは人手が必要なので産まざるを得ないのでしょうか? それとも都市部の金持ち層がお金を払って二人目、三人目を産むのでしょうか?

平成18年版 少子化社会白書(全文<PDF形式>)
http://www8.cao.go.jp/shoushi/whitepaper/w-2006/18pdfhonpen/18honpen.html

HCD-NETのセミナーに参加

田町で行われた人間中心設計推進機構(HCD-NET)が主催するセミナーに参加してきました。本日は初心者・中級者向けの内容ということで非常に分かりやすくまとめられており、参考になる内容でした。

  • 「人間中心設計促進のためのユーザビリティ定量評価」 和井田 理科氏 (日本ビクター株式会社 技術開発本部 コア技術開発センター)
  • 「人間中心設計促進のためのペルソナ手法とデザイン事例」 山崎 和彦氏 (日本アイ・ビー・エム株式会社 ユーザエクスペリエンス・デザインセンター 部長)

和井田氏の講演内容は、日常の業務経験に基づく含蓄のある解説でした。社内ユーザーと社外ユーザーとで評価結果に違いがあるかという問に対して比較調査を実施した結果、パフォーマンス測定に関しては同じ傾向が見られるというのは、面白い発見です。

もちろんユーザーテストはパフォーマンス測定以外にも様々な場面で使われるので、この結果だけで社内モニターだけで済ませられるとは言えないのですが、予算の少ないテスト計画を立てるときには参考になります。

山崎氏のペルソナ手法は、その場で出来る演習付きでした。丁度いま学生とペルソナ作りをしているので、この演習は大変参考になり、授業でも一部を取り入れたいと考えています。