【読書】シリアスゲーム

 シリアスゲームというのは「教育をはじめとする社会の諸領域の問題解決のために利用されるデジタルゲーム」という定義だそうだ。今では様々なゲームが開発され、実際にプレイされている。

 例をあげれば、国連世界食料計画が開発した、「フードフォース」だろう。このゲームは途上国で発生した大規模な災害により発生した食糧不足の問題を解決するために、様々なミッションを実行していく。ゲームを楽しみながら国連の食糧支援について学ぶことができるのだ。 

 「教育とゲーム」というキーワードで思い出すのは、「ポパイの英語遊び」だ。このゲームが発売された当時、なかなかファミコンを買ってもらえなかった友人が親を説得するために、このゲームで英語を勉強するからと説明していた。結果、ファミコンを買ってもらうことには成功したが、英語の勉強は進まなかったようだけど。

 自分自身を振り返ると、卒業研究はシリアスゲームに近いものだったかもしれない。「歩行訓練器に応用するバーチャルリアリティに関する研究」 というタイトルだったのだが、単純に歩行訓練器の前にスクリーンを置き、歩行速度に合わせて風景を切り替えて提示するシステムだ。リハビリに遊びの要素を加えて、モチベーションを高めるのが目的なのだが、ゲームを作る技術が低くてあまり楽しいものは作れなかったのが残念だ。

歩行訓練器画面

シリアスゲーム―教育・社会に役立つデジタルゲーム
藤本 徹
東京電機大学出版局 (2007/02)
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UCD Game

User Centerd Design(UCD)を2時間で体験できるシミュレーションゲームがスペインの大学で開発されたそうだ。この体験ゲームは空港のチケットレスカウンターを設計しながらUCDの4つのプロセスを体験できる。その過程ではもちろん様々なユーザーを考慮し、そのニーズを考えながら設計を進めることになるのだが・・・。

非常に面白い試みで、自分自身ぜひ体験したい。これを日本用にローカライズして、自分の講義で実施したら楽しいだろうなぁと思うので、後期の授業で開催を目指して翻訳を試みることにする。まずは作者に許可を取らねば。うまくいったらこのBlogで結果の報告と教材の再配布をしたいと思います。お楽しみに。

User-Centered Design Game
http://www.ucdgame.org/

UCD Game

【読書】胎動するベトナムの教育と福祉

 せっかくベトナムに行ったのだから、この国のことをもっとよく知りたいと思う。まずがやはり仕事に関連する情報が大事だろう。手にっとったのは「胎動するベトナムの教育と福祉」2003年の本だ。

 言うまでも無いことだが、この国の障害者にとって最も影響を与えているのはベトナム戦争だ。砲撃や地雷の被害は勿論、枯れ葉剤の影響による先天的な障害の発生も多い。日本では有名なベトちゃんドクちゃんもベトナムではあまり知られていないのだそうだが、それはみんなが感心がないのか、あるいは同じような境遇の人が多くて埋もれてしまうのだろうか・・・。

 途上国の障害者が二重に搾取されている。障害とそれに起因する貧困によってだ。ベトナムもまた例外ではなく、街中を歩くと物乞いをする障害者の姿が多く見られた。カンボジアでは観光地を中心に回ったため、あまりそのような人の姿を見ることはなかったが、手足のない人や目の見えない人が楽器を弾いていた。

 国全体が困難な状況にあるのだから障害者のサポートをするのは難しいとも言えるが、ドイモイ政策による市場開放で活気のある今では福祉にもっと力を入れてもいいのではないだろうかとも思った。

 

胎動するベトナムの教育と福祉―ドイモイ政策下の障害者と家族の実態
黒田 学 津止 正敏 向井 啓二 藤本 文朗
文理閣 (2003/06)
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