カメラのネジ

 支援機器をオーバーテーブルやベッドサイドに固定する時に使われるアームと呼ばれる部品がある。元々は撮影用の照明などを固定するために使われる部品なのだが、重いモノでもしっかりと固定してくれるので、これでノートPCを固定している使っている人もいます。

 カメラ関係の製品なので、使われているネジの規格がインチサイズなのが欠点とも言える。ねじ山を囓ったり無くしてしまったときに間違ってJISネジを入れてしまうとねじ山を潰してしまう可能性があります。

 実はカメラに使われているネジはインチ規格が使われています。主に使われるのが小ネジ、大ネジと二つのサイズで小ネジがU1/4インチネジ、大ネジがU3/8インチネジです。一般的なカメラのネジは小ネジの1/4インチサイズを使っていることが多いです。

 1/4インチはカメラ以外にも傘の石突きにも使われています。だから、折りたたみ傘の先端を外して現れるネジをカメラの三脚用の穴に差し込むとピッタリで、即席の一脚にすることが出来ますよ。

 

【読書】貧困の克服―アジア発展の鍵は何か

 貧困の問題に関連してアマルティア・センを読み始めた。 ノーベル経済学賞の受賞者なので、著作はもちろん経済学に関するものだが、貧困や福祉に関しても多くの著述がある。この新書は講演の記録をまとめたもので、彼の考えている「人間の安全保障」などの概念を解説している。

貧困の克服―アジア発展の鍵は何か
アマルティア セン Amartya Sen 大石 りら
集英社 (2002/01)
売り上げランキング: 6127
おすすめ度の平均: 4.5

5 非常に分かりやすい
5 世界で最も重要な問題
4 人間の潜在的能力の発揮による経済発展をめざす

【読書】アジア・アフリカの障害者とエンパワメント

 原著は1993年に出版されたが、今読んでも古さを感じさせない。それは途上国の障害者の状況が一向に改善されていないからだろう。本書の中で取り上げられている国、例えばインドのようにその後大きく経済成長を遂げた国であっても、障害者は貧困と差別にあえいでいる。

 途上国において、障害者問題の最も大きな関心は「貧困」だ。身体的な障害と根強い差別のために働くこともままならない。

 学生時代に参加した、留学生との交流会。その日は少しまじめに、世界の解決すべき問題は何か?という話題について話していた。日本人が環境問題や国際協調など、思い思いの課題を話すのに対して、留学生の多くが「Poverty」と答えていた。

 その時に感じたのは違和感は、私がまだ保護されている学生の身分だったからなのか、あるいは日本に住んでいるからなのかは、いまだに分からない。しかし、それから世界の貧困について意識するようになったと思う。(でもホワイトバンドはしないよ)

 障害者支援技術は、確かに障害者のADL(日常生活動作)を向上させることが出来るだろう。しかし、それと同時にかれらのQOL(生活の質)を向上させるだろうか? 貧困と差別の前で技術は何が出来るだろうか? この本はそんな事を考えさせてくれた。

アジア・アフリカの障害者とエンパワメント
ピーター コーリッジ Peter Coleridge 中西 由起子
明石書店 (1999/07)
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【読書】定性データ分析入門

 ユーザーの行動からニーズや問題点を見つけ出すために、フィールドノートを作成して定性調査を行うことがある。人類学の専門家のように何ヶ月も(時には何年も)調査を続けるようなことはないけれど、それでも集まる資料は会話を書き起こした文章以外も写真やビデオなど、結構な量になる。

 じっくりと時間をかけて、それらの資料を吟味する時間はとれないので早い段階からソフト的に処理できないかと考えていた。フィールドワークの入門書として手に取った佐藤氏の本にも、資料に関する同様の問題が記述されていたこともあって、整理法に興味を持つようになったのがきっかけだ。

 「フィールドワーク」の中で分析ツールとして紹介されていたのは、ShareWareの「IdeaTree」だった。まずはこのソフトを使うことからはじめた。一時期PDAのシグマリオン2を使っていたのだが、IdeaTreeにはPC用と互換性のあるWindowsCEで動作するバージョンがあり、外出先で記録したノートをPCで再編集するなど、便利に使っていた。

 その後、もっと自由度が高いソフトを探しているうちに発見したのが「IdeaFragment2」だ。こちらはKJ法のようにカードを並べて一覧にすることが出来るので、より自由な発想ができる。残念ながら開発を終了してしまったのだが、十分な完成度なので今でもお勧めのソフトの1つである。

 最近発刊になった「定性データ分析入門」では、QDA(Qualtative Data Analysis)ソフトと呼ばれる質的データを解析するための専用ソフトが3種紹介されている。日本では殆ど知られていないQDAソフトを紹介するという点で、本書は十分価値があるがそれ以上に素晴らしい点は、ソフトで解析する元になるデータの扱いについて慎重に取り扱っている点だ。

 定量調査に比べて定性調査は、ともすれば科学的な研究とは見なされない場合が多い。私の関わる分野として特に大きいのは障害に関わる領域のフィールド調査では、同じレベルの障害を持っていても、その他の条件が全く異なっている場合が多く、定量的な比較など出来ない事がほとんどだ。そのため調査は必然的に定性調査になる。社会科学の分野では問題なく受け入れられる手法だが、工学の分野では未だに受け入れられにくいのが現状だ。その現状を乗り越えていくためにも、よりよい報告書を作っていく必要がある。

 

定性データ分析入門―QDAソフトウェア・マニュアル
佐藤 郁哉
新曜社 (2006/10/10)
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フィールドワーク―書を持って街へ出よう
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簡易プロトタイピングツール考

 簡単にGUIのプロトタイプを作りたいときに便利な道具はないものかと思って、少し探してみました。

 通常はPowerPointをハイパーカードのように使って、紙芝居のようなプロトタイプをつくるのですが、マクロが使いにくいのが玉にきず。で、まずはハイパーカードが使えないかを調べてみます。

 本家Macでも今や更新が止まってしまっているのですが、同様の製品が幾つか出ているようです。 その中でも今後期待できそうなのがイギリスの会社が販売しているRuntime Revolution という製品です。

 HyperCardと高い互換性を持つマルチメディアオーサリングツールで、日本語にも新しいバージョンで対応する予定だそうです。マルチプラットフォームで価格も安いなど、プロトタイプ意外にも便利そうですね。

 次に画面デザインを考えるときに使っているのがVisioです。機械系の学生だったので、簡単な図面を書くときにはVisioを使っていましたが、いつの間にかMSに買収されて(以前よりも)メジャーなソフトになりました。

 VisioのPro版にはWindowsのコモンコントロールのステンシルがあるんですけど、これを使って書くなら、Visual BASICで最初からインタラクティブなプログラムを書いてしまえばいいんじゃないかと思います。

 そこでVisioの代わりになるものとして、次の2つが見つかりました。

1.Mockup Screens – Make Exciting Software Presentations

 この手のツールが比較的高価格なことを考えると、79$という値段設定は魅力的です。スケルトンでインターフェースの概観を設計できるのが便利ですね。

2.Himalia Guilder

 インターフェースをGUIから考えるのではなく、Use case などのモデルを考えることから設計する「Model-driven user interfaces」の考え方に基づいて作られたデザインツールです。まず、Use CaseやNavigation Modelなどを作成したあとに画面デザインに進みます。これなら、画面デザインが終わった後にボタンが一つ足りなかったなんて失敗はありませんね。

 現在ベータ版なので無料でダウンロードできるのですが、プログラムの実行に別途Visual Studioが必要です。

 携帯や組み込み系のGUIを考えるときはまた、違うツールが必要ですね。プロトビルダーが使えればいいのですが、プロ用なので高価です。Flashで画面を作りAction Scriptで動きをつけるのが多いですね。少し探してみると、最近はFlash互換の無料ツールが公開されているんですね。

1.Suzuka

 開発画面のインターフェースを見ると、本物に近い操作感が得られそうです。

2.ParaFla!のページ

 パラパラマンガから本格的なアプリまで制作できるそうです。

いずれも無料で公開されているツールとしては完成度が高いですね。