「遙かなる甲子園」に続き、山本おさむの「わが指のオーケストラ」を読了。口話主義が台頭する日本の聾教育界の中で、ただ一つ手話を守った大阪市立聾唖学校の校長、高橋潔を主人公にしたマンガです。日本の聾教育の歴史がよく分かります。
高橋潔の言葉で最も感動した場面は、彼の全国聾唖学校公聴会総会でのスピーチです。
「口話に適する者には口話法にて適しない者には手話法にて」
「ひとりの落ちこぼれもない教育…いわゆる適正教育を最もよしと信じるのであります!!」
第4巻P143より
他の学校が口話教育に傾く中で、たった1人手話教育の重要性を訴える姿に感動しました。潔の考える適正教育は、いまのインクルージョン教育にも通じるものだと思います。
しかし世間は口話教育を選び、その結果いまでも聾学校では口話教育が主流で、手話はあまり認められていないままです。口話が出来ると健聴者とのコミュニケーションは円滑になりますが、習得することはとても難しく誰もが身に付けられるものではないそうです。その結果、学校の授業が口話法を身に付けるために割かれてしまい、他の教科の勉強が遅れてしまうという問題があります。
口話がいいか手話がいいか、答えは一つではありません。その人に適した教育が受けられるようにすることが大事なのだと、改めて感じました。
わが指のオーケストラ (3)
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山本 おさむ
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