【読書】桜の文学史

  この季節、日本に生まれてよかったと思うのが桜の花が見られることだ。桜が、なぜこれ程までに日本人の心を捉えて離さないのだろう。満開の桜の木の下を風が駆け抜けると、ひらひらと舞い落ちる花びら。それだけでこころは千々に乱れる。侍の心に例えられたり、軍国主義の象徴にされたりと少々物騒な花でもあるが、それも人の心を動かす魅力のせいか。

 ちょうど高校生の頃に、桜のことをもっと知りたくなって買い求めたのが「桜の文学史」。いまは新書で再版されているが、その頃は文庫版だった。この本は遙か万葉の時代から、文学の中に織り込まれた日本人と桜との心根を説き明かしています。江戸時代以降に広まった桜の散る様に死生観を重ねる文化が、極一時的なものだというのも分かります。

 理系の大学に入ってから一般教養で取った文学のクラスで教鞭を執られていたのが、この本の著者の小川先生でした。授業の教科書もこの本が使われていて、以前から本書を読んでいた私は、毎回の授業を本当に楽しみにしていました。著者に直接教えてもらえるなんてなかなかない幸運。

 あぁ、それにしても、今年も桜が散っていく。

桜の文学史 (文春新書)
桜の文学史 (文春新書)

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小川 和佑
文藝春秋 (2004/02/22)
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おすすめ度の平均: 5.0

5 年間を通して楽しめる桜の本

PowerPoint Prototyping Tool Kit

 ユーザーインターフェース(UI)を検討するときにプロトタイプを作って、構造やレイアウトを検討しますが、その時に便利なのがPowerPointです。 スライドにインターフェースの画面を書き込んで、スライドショーでその動作を確認します。ペーパープロトタイプに比べてキレイなプロトを作れるなどのメリットがあります。

 そのPowerPointプロトタイピングの製作を楽にしてくれるテンプレートが、PowerPoint Prototyping Toolkitです。このTool kitは作成例と、インターフェースを作るためのコントロールが貼り付けられたスライドで構成されています。

PowerPoint Prototyping Tool kitExampleCotrols

 例を参考にして、自分が作りたいUIの形にコピーしたコントロールをレイアウトし、制御可能なコントロールにハイパーリンクを設定すれば出来上がり。

 それにしてもこれを作ったのがオーストラリアに住む19歳の大学生。才能を感じますなぁ。

 これまでPowerpointでプロトを作るときに困っていたのが、ハイパーリンクが設定されていないコントロールや、背景などをクリックしてしまうと次のスライドが表示されてしまうこと。対策として透明なBoxを全画面に貼り付けていたのですが、PowerPoint2007には、アニメーションの設定の中に「画面切替のタイミング」のプロパティがあり、ここで□クリック時のチェックボックスをオフにすると、スライドショーの途中にマウスで画面をクリックをしても切り替わらなくなります。

Toolbar

国連障害者権利条約は5月3日から有効へ

 4月2日のエントリーで少し書いたが、規定の数の批准が得られたため、国連の障害者権利条約が5月3日より効力を持つことになりました。この事についての記者発表が国連のサイトに掲載されています。テキストとWebcastがありますので、ぜひご覧ください。

UN Enable – Press conference on Convention on the Rights of Persons with Disabilities following 20th ratification
On 4 April 2008, the representatives of the last three countries that  ratified the Convention on the Rights of Persons with Disabilities spoke about the importance of this landmark human rights Convention and its implications for the rights of persons with disabilities worldwide. The treaty will enter into force on 3 May after Ecuador became the 20th country to ratify the Convention.

 それにしても、これからどんな変化が起こるのか、期待と不安が入り交じってます。

 国会はいま問題解決能力を失っており、条約への対応は難しいでしょう。そうなれば官僚が中心となって対処することになるのでしょうが、どこまで今の法律を変えていってくれるでしょうか。外務省が訳した条約の文書にも様々な指摘がされており、それを基にした議論が行われることに不安を感じます。

 これからは、国の動きをこれまで以上に注意してモニターしていく必要がありますね。

【漫画】ファンタジウム

 雑誌モーニング2に連載中のマンガ、「ファンタジウム」。

 主人公の長見良は13歳の男の子。天才的なマジックの腕前を示す彼は、ディスレキシアのために中学を不登校に。周囲の無理解から孤独を募らせていた彼は、師匠だった北條龍五郎の孫の英明との出会いで、プロのマジシャンを目指していく。

 マジックもディスレキシアも丁寧に描かれていて、大人びてはいるがまだまだ少年らしさを残す主人公の心の内が鮮やかにでています。お勧め。

 たぶん、マンガの主人公にディスレキシアが登場するのは初めてではないでしょうか? マンガなので極端な部分もありますが、ちゃんと取材もされているので、押えるところはちゃんと押えています。

ファンタジウム 1 (1) (モーニングKC)
杉本 亜未
講談社
おすすめ度の平均: 5.0

5 共感を持てる主人公二人が面白くてかわいい
5 ものすごく続きが読みたくなる
5 『独裁者グラナダ』の
5 くりかえし読みたくなる
5 マジックシーンがすごい

ファンタジウム 2 (2) (モーニングKC)
杉本 亜未
講談社
おすすめ度の平均: 5.0

5 さまざまな要素がまとまっていく手品のような素晴らしさ
5 久しぶりに良いマンガを読んだ

今日は「世界自閉症啓発デー」

 4月2日は国連が定めた「世界自閉症啓発デー」。今年が第1回目になります。

世界自閉症啓発デー(4月2日)の発足に寄せる潘基文国連事務総長メッセージ
 国連はこの日、障害を持つ人々の権利と福祉を守るという決意を再確認します。この決意は、万人の普遍的人権という国連の基本理念に根ざすものです。国連ファミリーはその創設以来、発育障害を持つ子どもを含む障害者の権利と福祉を推進してきました。世界人権宣言が採択60周年を迎え、しかも2006年に国連総会で採択された「障害者の権利に関する条約」の発効が期待される2008年に、「世界自閉症啓発デー」が発足したことは、特に意義深いといえます。
・・・

 事務総長のメッセージにあるように、今年、国連の障害者の権利に関する条約が発効される可能性が極めて高くなっています。条約が発効されるためには、条約に対して20ヵ国以上の批准が求められているのですが、今日の時点(2008年4月2日)の時点で、チュニジアが新たに批准して、その数は20を超えました。条件は揃ったので、あとは具体的な発効の作業ですね。

UN Enable – Promoting the Rights of Persons with Disabilities