【読書】オタク市場の研究

 たまたまもらった本なので読んでみたが「オタク」という言葉の普及と共に、その中身も拡散してしまったようだ。本書では、オタク文化の広がりを消費社会の成熟の結果としている。
 でもそれでは単に成長著しいニッチ市場の分析に終わってしまうのではないだろうか?
 オタク市場があるとすれば、それは独特のコミュニティが形成されていることを指すのだろう。本書でも勿論コミュニティについて言及されているが、ほんの僅かで踏み込みが足りないなぁ。
 自分だったらここで、コミュニティを支配する物語の重要性を指摘したい。オタクはモノに対して萌えるのではなく、そのモノに付随する物語に対して萌えるのだと思う。ここで物語はアニメのストーリーだけではなく、スペックや開発秘話などの蘊蓄も含まれる。
 その物語がコミュニティの中でどのように消費されていくかを追跡することが、市場の方向性を占う方法なのだと思う。
 
オタク市場の研究
オタク市場の研究

posted with amazlet on 05.12.29
野村総合研究所オタク市場予測チーム
東洋経済新報社 (2005/10/14)
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FOMA F881iES

 近所に新しい携帯ショップが開店したので寄ってみると、開店とクリスマス記念でかなり安く端末を売っていた。9月に出たばかりのらくらくホンFOMA2も、らくらくホンシンプルが出たせいなのか早くも値崩れしており4800円。店の会員になると更に2000円引き。これにポイントを使ったので、実質タダになるということで衝動買い。

 やたらと端末を買ってしまうので、部屋の中が携帯だらけだ。一番ひどいときは電話番号が7つもあった時期もあって怪しまれた(笑)が、FOMAだとカードを差し替えられるので1つの回線で済むのがとても経済的。

 Willcomの端末もW-SIMを差し替えれば、1つの回線で複数端末を切り替えられるのだろうか? そうだったら楽しいがまたコレクションが増えることになってしまう・・・。

SPコード

 視覚障害の人向けに開発されたSPコードというものがある。2次元バーコードの一種で、専用のスキャナーで読み取ると文字をデコードして音声で読上げてくれる。

 視覚障害の人の内、文字を読むことが極めて難しい1級や2級の人は約19万人いるが、点字を読むことが出来る人は1割に満たない。多くの中途失明者にとって点字の読み書きを学ぶことは難しいのだ。また高齢のために失明する人も多く、新たにパソコンなどのスキルを身に付けることも容易ではない。SPコードはそのような人達をターゲットに開発されたものである。

 狙いとしては正しいと思う。OCRの技術が進んだとはいえまだ100%の認識率には至っていないし、点字プリンターも効果で置き場所に困るから、プリンターで簡単に印刷できるコードは点字を読めるユーザーにとってもメリットは大きいはずである。しかし、普及のやり方に問題があると感じる。

 まず、独自に開発したSPコードである。すでに携帯などに使われているQRコードをなぜ採用しなかったのだろう? 既に普及しているコードを利用することによって開発のコストは随分下げられたはずだし、音声読み上げが可能な携帯電話であれば持ち運びが出来るリーダーが出来た可能性も高い。

 これには恐らく日常生活用具給付金制度が問題になっている。この制度は福祉機器の購入を助成する制度で、政府が認めた用具に対して購買の補助金が出る制度である。そのため日常生活用具に認められれば、少額の負担で済むため、高額になりがちな福祉機器を購入する事が出来るようになっている。素晴らしい制度なのだが、問題点も多い。まず、障害者を対象にした製品でなければ認可が下りないことである。介護ベットなどであれば問題ないのだが、情報機器に関しては一般の人でも便利に使える場合があるので、認められない例もあった。SPコードに関してもおそらくその点に対しての配慮から独自のコードを開発するに至ったのだと推察される。

 次にSPコードが標準化されていないことである。QRコードは標準化が進み、規格がオープンになっている。そのため多くの企業が利用しており、それが普及の要因の一つにもなっている。これに対してSPコードはクローズドだ。そのためか対応している読み取り装置は2種類だけである。

 SPコードは自治体の広報や薬の注意書きに使われなど、徐々に普及してきた。しかし、まだ一部の利用に限られている。これはSPコードが付いた印刷物が少ないからなのか? あるいはそれを読み取る装置が普及していないのからなのか? とにもかくにも卵が先か鶏が先かの議論と同じジレンマに陥っている。

 このジレンマを打ち破るために必要なことは、SPコードの利用を自由にすることだろう。少なくとも視覚障害者向けに発売されているOCR装置やソフトがSPコードを理解出来るようにすること。先述したようにOCRは未だに100%の認識率には遠く、段組や挿絵があると認識率は著しく下がる。そこにSPコードが付与されていれば、文字の読み上げは100%可能になるのだ。バーコードの認識プログラム自体はそれ程難しい技術ではないので、メーカー側が対応する際の負担も少ない。携帯電話でも読み取り/読み上げが可能な端末が出来るかもしれない。とにかく少しでもSPコードを読める端末を増やすことが重要だ。

 SPコードを付与した印刷物を増やすことも重要だ。現在SPコードを作るには専用のソフトが必要である。このソフトはMicrosoft社のWordに組み込んで使用するため、その他のソフトで作られたものに対応できない。対応したソフトを増やしていく努力が必要だろう。また規格が公開されれば自社のソフトに組み込んでくれる開発者も居ることだろう。

【読書】それでいいのか蕎麦打ち男

 「下流社会」に続いて「それでいいのか蕎麦打ち男」を読んでみた。下流~がある意味で団塊Jr.世代を評論した世代論であったが、この蕎麦打ち男はその親に当たる団塊世代を論じた本である。
 世代論なんて血液型占い程度にしか信じていないが、読むと結構面白いんですよねぇ。特に団塊世代は2007年問題などでクローズアップされていて関連する書籍がたくさん出ています。それらの類書が、金持ってる団塊世代を相手においしいビジネスしましょう的な内容に比べて、自身も団塊世代の著者が同世代に向けて渇を入れるという内容はちょっと目新しい。
 まぁ何にしても団塊Jr.にあたる私は、団塊世代に対して近親憎悪的な複雑な感情を持っているので、この渇は気持ちよかった。
 
 
それでいいのか 蕎麦打ち男
残間 里江子
新潮社 (2005/09/21)
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【大学】ユニバーサルデザイン講義?第11回

 講義報告の書き込みが3つ続いてしまった・・・。

 本日は今年の最後の授業でした。デザインの評価に関して90分の解説を行ってきました。ヒューリスティック評価や、ユーザ調査について、写真やビデオを使って具体的に説明。合わせてアクセシビリティのチェックツールなどについても実演。大学のWebサイトをチェックツールにかけたところ、とんでもない結果が出てしまってちょっと困った(^^;

 授業の最後に「スマートITデザインコンテスト」の案内をした。このコンテストは人々が快適に過ごせる公共空間をつくるスマートなITに関して提案を行うもので、そのテーマの一つとしてユニバーサルデザインが挙げられている。学生でチームを作って出品してくれればと思って紹介したのだが、時期的に期末試験と重なっているため準備が難しいかな? もう少し早く知っていれば授業の課題に出来たのに残念。