インクルーシブデザイン・ワークショップ 2日目

ワークショップ二日目。この日は朝から一般の方の家庭に伺って、半日過ごし生活の中での不便さを発見する作業に取りかかった。

 私たちのグループは、京都市内に住んでらっしゃる視覚障害の方のおうちに行くことに・・・。生活の中での発見ということでお掃除を手伝ったり、お茶をいれたり、買い物に出かけるなど日常生活でよくある場面を一緒に体験する事で、そこに潜む問題を探るのだ。

 問題発見の作業の中で、特に我々が着目したのはコーヒーを淹れてもらうときの不便さだ。いつもドリップバックを麦茶のパックのようにそのままヤカンに入れて煮出してコーヒーを作られているとのこと。電気ポットからドリップバックの注ぎ口にお湯を入れるのは難しいので、この方法で淹れているそうなのだ。そこで、我々のグループではこの問題を解決することに・・・。

 ワークショップの様子 ドリップバックの改良のための試飲

 午後、ワークショップの会場に戻ると、直ぐに半日の行動から得たキーワードをまとめて発表する作業を行い、続いてそれらの問題を解決するための具体的なアイデアを練ることに。我々はドリップバックを購入してきて、実際にお茶を飲みながら優雅にアイデアを考えたのだった・・・。

インクルーシブデザイン・ワークショップ 1日目

 京都で開催されたインクルーシブデザイン・ワークショップに参加してきた。これは財団法人たんぽぽの家と協力し、インクルーシブデザインを推進しているジュリア・ カセムさん(英国ロイヤルカレッジ・オブ・ アート)を招いて行われるもので、3日間にわたるワークショップを通じてインクルーシブデザインの考え方を学ぶものだ。

 初日の今日は講師のカセムさんからインクルーシブデザインの考え方を、たくさんのスライドを見ながら説明してもらう。いちばんの興味はインクルーシブデザインとユニバーサルデザインの違いだ。

 ユニバーサルデザインはアメリカと日本でよく使われる言葉で、インクルーシブデザインはイギリスなどヨーロッパでよく使われている言葉だ。どちらも多くの人にとって使いやすいデザインの概念である。カセムさんによれば両者のメソドロジーは同じだそうだ。違いはヨーロッパとアメリカの言語的なセンスの違いだそうだ。ヨーロッパの人にとって、「ユニバーサル」という言葉はとても仰々しい言葉なのだそうだ。彼らは人生の中でユニバーサルなモノなんて何も無いと思っているので、しっくり来ないとのこと。確かに私もユニバーサルデザインて「宇宙のデザイン」ですか? と聞かれたこともあるから、その感覚は分からなくもない。

ワークショップの様子

 講義の合間には必ず考える時間が用意されていて、その都度よいデザインとは何かを考えさせられる。この自分で考えるというのがワークショップで重要なんだな。自分で講義するとつい教えることに一生懸命になってしまって、そこまでたどり着けないことが多い。見習おう。

光の中へ―視覚障害者の美術館・博物館アクセス
ジュリア カセム Julia Cassim
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