【読書】デジタルゲーム学習

 コンピュータ・ゲームを勉強やスキル修得に活用しようという動きがある。学習を目的としたゲームのことを総称してシリアスゲームと呼ぶのだが、学校の勉強に使う電子教材の延長ではなく、一見して本格的なシミュレーションゲームや、リアルな体感ゲームなど、本当のゲームと見まごうようなものもある。

 学習ゲームといえば、「ポパイの英語遊び」を思い出す。友人が親にファミコンをねだった時に、これで勉強するからという無茶苦茶な理由で本体と購入したのを、遊ばせてもらった記憶がある。当時としては画期的だったのだろうが、他のゲームが面白くて、結局はスーパーマリオばかりをやっていた。別の友人はシミュレーションゲームの「三国志」で中国の歴史に興味を持ったヤツもいたし、「桃鉄」で全国の地名を覚えた人は多いのではないだろうか?

 ところで、この本を読んだ理由だが、AD/HDのように多動の傾向がある子ども向けの学習ゲームの可能性を検討しているからである。AD/HDの場合、1つの事に集中して勉強することが難しい。しかし、コンピュータ・ゲームに対しては、かなり集中して遊ぶことができるという例が幾つかある。これは好きなことだから集中できるからなのか、ゲームのように動きが速く、画面のあちこちに注意を分散してプレイする必要があるからAD/HDの特性に向いているとか、いろいろ言われているのだが、まだはっきりした理由は分かっていない。プレイ中の脳波と画面上の視線移動を測れれば、何か分かるかもしれないが、それはまた別の機会に。

 ともあれ、障害のあるなしに関わらず、よくできたシリアスゲームには、高い教育効果があることは明かで、今後の開発への期待が持たれる。できれば、面白いシリアスゲームを作るノウハウを教えてくれれば最高なんだが・・・。

デジタルゲーム学習―シリアスゲーム導入・実践ガイド
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RED BULL BOX CART RACEに出たいよ!!!

 たまたま見ていたCMで知ったのですが、スタミナドリンクで有名なRedBullがスポンサーのBox Cartレースが、10月に日本初開催されるらしい。

シリコンバレー辺りじゃ、年に一度ハイテクベンチャーのエンジニア達が集まって、このレースに熱狂しているらしいと、「発想する会社!― 世界最高のデザイン・ファームIDEOに学ぶイノベーションの技法」に書いてあったけど、日本ではこれが初めてなのね。

発想する会社! ― 世界最高のデザイン・ファームIDEOに学ぶイノベーションの技法
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おすすめ度の平均: 4.5

5 忘れていた何かを思い出す
5 イノベーションの実像の書
5 イノベーションを生むための具体的な方法
4 IDEOの方法論に触れることができるが、危険な本?
5 これで社内のファシリティ考えてもいいです。


レースの評価点は次の3つ。

  1. カートのオリジナリティと完成度
  2. ドライバー本人とチームのエンターテイメント性(パフォーマンス)
  3. レースタイム

つまりどれだけ目立った走りが出来るかということだな。

人生にレースは必要だよ! 誰かオレとチームを組まないか?  最初の書類審査の締め切りは7月13日だ。

iPhoneで動くコミュニケーションエイド

 発話ができなかったり、体を動かす事ができないなどの身体的な理由や、自閉症などが理由でコミュニケーションがうまくできない人のための支援機器を総称してコミュニケーションエイドと言いますが、それをiPhoneアプリで実現したのが、このソフト。

Communication on the Go for iPhone and iPod touch
“Communication on the Go for iPhone and iPod touch” Communication on the Go for iPhone and iPod touch

  以前からPDAを利用して同様の機能を実現したコミュニケーションエイドが発売されていたが、iPhoneのように入手が容易な端末で利用できると、選択肢が広がりますね。

 実装はされていないけれど、iPhoneならではGPS機能や加速度センサを組み合わせると、もっと様々な入力デバイスとして使えるかもしれない。

 一方日本ではこのようなコミュニケーションエイドの機能を、ニンテンドーDSで実現できるソフトが開発中らしい。DSiのカメラ機能を利用して、写真を取り込んだりかなり期待できそう。iPhoneよりお手軽ですね。

Photo

【報告】発達障害支援研究会-第1回勉強会

 所沢にある国立身体障害者リハビリテーションセンターで行われた発達障害支援研究会第1回勉強会に参加してきた。以前から学習障害の人の支援機器開発に興味がありこの会にも入ったのだが、会計は企業の人がいいよねぇというよく分からないロジックで、会計幹事を担当することになってしまった。今回はお金が発生しなかったが、次回以降は会計の仕事が増えるかもしれません。

 肝心の内容ですが、非常に興味深いもので、所沢まで行ったかいがありました。

  • 開催日:2009年5月23日(土曜日)
  • 場所:国立障害者リハビリテーションセンタ
  • 時間:13時?16時
  • 内容:
    1. 発達障害について (30分)
      1. 医学的な定義など
      2. 行政における発達障害とは
    2. 発達障害の各ライフステージにおける特徴と課題 (40分)
      1. 乳幼児期
      2. 学齢期
      3. 青年期以降
    3. 発達障害情報センター・発達障害教育情報センターにおける情報提供について (20分)
    4. ヤンセンファーマ社による「バーチャルAD/HD」の紹介(5分)
    5. LD,ADHDの心理的疑似体験プログラムの実施と発達障害における支援機器の在り方(35分)
    6. 質疑及びディスカッション(30分)
    7. まとめ

 特に興味深かったのが、4と5です。

 ヤンセンファーマの「バーチャルAD/HD」は、次の写真のように、没入型バーチャルリアリティを提示する機器を用いて、集中できない子どもの視線の動きを体験するものです。教室の中で黒板を見ようとしても、周りのものに注意が向いてしまい視線が周囲に動いてしまいます。頭を動かして、視線を黒板に戻そうとして、強制的に視線が引き戻されてしまい、結果集中できなかったり、多動になってしまうということが体験できます。

ADHDの疑似体験ツール

 もう1つは学習障害の疑似体験ツールでした。こちらはパワーポイントによるスライドと、質問紙の組み合わせで行われるものです。こちらも以前から体験したかったもので、非常に興味深いものでした。ただし、この日は時間の関係で、短縮版で行われたのですが、本番は2?3時間かかるものなので、いずれ正式なコースを体験したいと思います。

【報告】UAIセミナー「Webアクセシビリティ@秋葉原」

 22日、秋葉原で行われたUAIセミナー「Webアクセシビリティ@秋葉原」に参加してきた。今日の話題の中心はこの秋に改訂される予定のJIS X8341-3:2009について。

 しかし、私の今日の役目はこのセミナーを情報保障の一環として、会場まで来られない人にWeb中継すること。これには無料でストリーミング放送を利用できる「Stickam」のサービスを使って実施した。このセッティングに苦労したのは、以前のエントリーで書いたとおり。苦労しただけあって、会場では一発で接続することができた。

 これまで何度かWebカメラを使って中継したことがあったが、ビデオカメラを使ったのは初めて。画質は圧縮してしまうので、大差はない印象。しかし、マイクの性能はビデオカメラに内蔵しているものの方が、圧倒的によいので、会場の声をよりキャッチできた。

 最終的には10人の人がこの中継を見てくれた。今後のセミナーで、またWeb中継を実施しするかどうかはまだ分からないが、個人が手軽にブロードキャストが出来るようになった時代に、これらの動画にどうやって情報保障をしていくかというのは、今後の大きな課題だと思う。

 この日は動画の配信と同時に、パソコン要約筆記のテキストをSkypeチャットで送信するという実験も試みられました。パソコン要約筆記のテキストに対しては、著作権の問題が含まれており、そのままブロードキャストするためには、クリアしなければならないことがあり、今回は特定の人に対して字幕を配信するために、Skype経由での配信になりました。こちらも講演冒頭では動作しませんでしたが、中盤から中継が可能になりました。Web中継と字幕を同時に表示すると、講演の内容をかなり正確に伝えることができます。UAIセミナーでは、事前に講演用のスライドをWebで公開しているので、小さな画面では読みにくい文字も、公開されている資料を確認することで情報を補えます。

 このテーマについては、しばらく様々な手法を試して、ノウハウを確立したいと思います。